05-24.よくある流れ
宴会は恙無く終わった。……終わったったら終わった。
「クーちゃん? 大丈夫ですの?」
「ええ……ありがとう。クラちゃん」
クラリスの膝枕で心を癒す。
『あいつら王女をなんだと思っているのかしら』
本当にね~。
まさか堂々と口説かれるとは思わなかったわ……。
しかも領主の息子たちが代わる代わる。お見合い会場か何かと勘違いしていたのかしらね。
『父である領主の差し金でしょ』
でしょうね。息子たちまで妙に態度がデカかったのは、たぶん乗り気じゃなかったからなのだろう。仕方なく嫁に貰ってやる的な物言いだったし。
加えて元々女性を見下している面もあるのかもしれない。ハッキリ断ったのに、何を言ってるのかわからないって反応だったし。
場を荒らさずに全員を諦めさせるのには苦労したわ。
『我慢する必要なんてなかったのよ』
ダメよ。この離島を取り潰すのは難しいもの。徹底的にやり合う事になれば、かえってお兄ちゃんに迷惑がかかるわ。
「姫様!! 誠に申し訳ございません!!!」
モミジが再び現れた。
あなた今までどこに居たの?
『抗議してたわよ。相手は王子の婚約者だぞって』
良い子だぁ……。
といか気付いてたんなら言ってよ。放置して引き上げてきちゃったじゃない。
『首突っ込んだら余計面倒なことになるじゃない』
それはそう。そうなんだけれども。
「ありがとう、モミジ。助けてもらったのに、こちらは何も出来なくてごめんなさいね」
「いえ! いいえ! お立場を思えば当然でございます! 姫様の寛大な応対にこそ感謝を!!」
またひれ伏しちゃった。
「頭を上げて。こちらへいらっしゃい」
廊下で騒いでたら目立つから。
「あなたは良い子ね。モミジ。そんな貴女に聞くのは心苦しいところだけど、もし何か知っている事があれば教えてほしいの。彼らは何をなそうとしているの? アルミディア本国への足がかりが欲しいだけ? それとも他に何か理由があっての行動なのかしら?」
「それ……は……」
あら。本当に何かあるみたいね。
「申し訳ございません!!! 誠に!!!」
あかん。また謝罪ループが始まりそう。
「ストップ。頭を上げなさい。私はそう言った筈よ。謝罪は要らないわ。説明を求めているだけよ。ごめんなさいね。思い上がらないで頂戴ね。貴女一人が頭を下げた所で何の足しにもならないわ。貴女自身の気が晴れる以外の意味は無いのだと理解なさい。いいわね。モミジ」
「は、ははっ!!!」
よろしい。
「それで?」
「……鬼どもが要求してきたのでございます」
え? あいつら言葉まで喋るの?
「国一の美姫を差し出せと」
あら♪ それで私に目を付けたのね♪ 見る目あるじゃない♪
「父は……モミジは卑怯者にござりまする」
父? モミジも? 何の話?
「まあ♪ つまりモミジはこの地の姫なのですわね♪」
「い、いえ! 姫は恐れ多き呼び名にござりまする! 領主の娘にすぎませぬ!」
……え?
あ……え? そういうこと?
「私たちの側付きって、要は私にボディーガードを頼むつもりだったのね」
「申し訳ございません!!」
今度の謝罪には多少なりとも意味が生まれるかしら。
忍び? 女中? どっちつかずな一人の少女がいくら頭を下げたって意味は無いけど、仮にも当事者本人だものね。
「もういいから頭を上げて。今度は謝罪を受け取るわ」
「ははっ!!!」
なんとも大げさな子だ。
それも罪悪感の裏返しなのだと思えば納得かしらね。
「安心して。私たちは勝つわ」
「姫様!! モミジもお供致します!!」
「いいわ。付いてきなさい。貴女が証人となるのよ。私たちの英雄譚をこの地で語り継ぎなさい」
「ははっ!! 必ずや!!」




