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虚空少女の風騙り  作者: こみやし
01.虚空少女の前日譚

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01-09.騒動の顛末


「とぅ~る~る~♪ ぅ~~~~~ひゃっふ~~~!」



「ごきげんですね。クー様」


「あ♪ ユキノ♪ たっだいま~♪」


「おかえりなさいませ。クー様。ところで。今が何時かご存知でしょうか?」


 ……あ。



「いや……あ……えっと……あはは~……ごめんなさい!」


「許しません」


 ひぃっ!!




----------------------




「シクシク……お尻痛い……」


 ……クーちゃんもう十五よ?


 お尻叩きはないでしょ。お尻叩きは……。


 しかも生尻……直に……ぐすん……ちょーいたい……。



「……空属性に治療魔法とかないのかしら?」


 幸い目当ての古文書は無事に確保出来た。あの大混乱の中でよくぞ無傷でいてくれたものだ。


 ついでに他にも色々と確保してきた。というか、封印ごとぶっ壊しちゃったから残しておけなかったのだ。


 一応扉自体は元通りに戻してきたけど、部屋の中身はグッチャグチャだった。なので、所謂収納魔法で中身を丸ごと引き取ってきたのだ。


 中身の整理は追々だ。瓦礫や本棚も丸ごとだから、無事な書物を探し当てるだけでも一苦労だ。


 今日はもう疲れた。昼行灯らしく明日から頑張るぜ。



「けど少しだけ~♪」


「クー様」


「はい。寝ます」


 明日だ! あしたぁ!




----------------------




「なに!? 封印が破られただと!?」


「はっ! 間違いありません!!」


「何をしておる! 至急魔術師を集めよ!!」


「それが!」


 報告の続きを聞いた国王は、自ら禁書庫へと赴いた。



「……なんだこれは。空っぽではないか」


 そこには何も無かった。空の部屋だけが残されていた。


 そんな筈はない。王国が代々守り続けてきた封印だ。ここには恐るべき書物の数々が収められていた筈なのだ。



「中身はどこへ消えた! 持ち出された痕跡は!」


「現在調査中であります!」


「急げ! これは国家の! いや! 世界存亡の危機だ! そう心得よ!!」


「ははっ!!」


「陛下」


「……うむ」


 側近に連れられ、現場を離れる国王。



「陛下。……大変申し上げにくいのですが」


「……クーフェリアか」


「はい。禁書庫に近づく姿を目撃されております」


「……ならば」


「安心とは言えぬかと」


「……そうだな」


 本棚の影で密かに頭を抱える国王と側近。


 その姿を目撃した者は誰もいなかった。




----------------------




「……」


 あかん……パパンめっちゃ怒ってるぅ……。



「……申開きをせよ」


 国王様モードだぁ~……ちょっち懐かしい……。


 最後に本気で叱られたのは、数年前、魔獣討伐軍に紛れ込もうとしてバレた時以来だ。



 どうやら、昨日の今日で禁書庫の封印が解けたとバレてしまったらしい。しかも何故か私が犯人であることまで知っているようだ。結果、朝一で城に呼び出されたのだ。


 どうしてこうなった。何がいけなかった。ちゃんと封印はかけ直した筈なのに……。



「どうした、クーフェリア」


「……申し訳ございません」


「認めるのだな」


「……はい」


「どこへやった」


「……私が持っています」


「持っているとはどういうことだ。あの場に収められていたのは太古の昔に封じられし、伝説と謳われる品々だ。到底人の手に負えるものではない筈だ」


「……今出してみても?」


「良いわけがあるかぁ!!」


 ひぃっ!?



「話を聞いておらんかったのか! 危険な代物だと言っておろうが!!」


 ごめんなさぁ~い!!



「何故こんなことをした! 言い訳の一つも無いのか!」


「ま、魔獣が!!」


「魔獣だと?」


「はい! 封印には既に綻びが生じかけておりました!」


「……その魔獣を外に出さぬため、自ら朽ちかけの封印を破って討ちに乗り込んだと?」


「は、はい! その通りです!」


「……そうか。やはりそうであったか」


 ……え?



「流石だ。クーフェリア。余はお前を信じておったぞ」


 ……本気? それでいいの?



「陛下」


「言うな」


「……はっ」


 何をだろう……。



「次からは必ず報告を上げよ。良いな?」


 それはマズいなぁ……昼行灯ムーブ的に……。



「よ・い・な?」


「は、はい……」


 困ったなぁ……。



「さて。何か報奨を与えねばならんな」


 いや、そういうのも結構っす……。



「す、既に十分なものを」


「禁ずる」


 なんて?



「禁書庫にて手に入れた品を利用することは禁ずる。安全に保管しろ。これは王としての命だ。断じて破ることは許さぬ」


「はい……陛下……仰せのままに……」


 しょんなぁ~……。



「案ずるな。お前の意志は理解しておる。尊重もしておる。大事にはせん。手段も聞かぬ。お前を信じ、お前に任せよう。今後も期待しておるぞ。クーフェリア」


 ……あ、はい。ありがとうございます。



「陛下……」


「許せ」


「しかし……」


「これは余の決定だ」


「……御意」

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