02-01.入学式
入☆学☆式!!
きたぜ! 遂にこの時が!
クーちゃん様の昼行灯伝説が! 今! 動き出す!
「クー様。忘れ物はございませんか? ハンカチは持ちましたか? ちり紙は? タイは曲がっていませんね?」
珍しく心配性だ。普段はあんまり細かく言わないのに。
「ユキノ……? もしかして寂しいの?」
わっぷ。
急に抱き締められちった。
「……いってらっしゃいませ。クー様」
「うん♪ まっすぐ帰って来るから♪ 留守は任せたよ♪」
「はい。クー様」
ユキノも連れて行けたらよかったのに。
見た目だけなら今でも学生として十分通用すると思うんだけどなぁ~……。そんなこと口にしたら怒るだろうけどさ。
「……やっぱりユキノも一緒に行かない?」
「クー様……」
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まさか本当について来てくれるとは。
前日まで一度も首を縦に振ってくれなかったのに。
「クー様。あまりふらふらなさらずに」
はい。
今日は入学式だ。
学園の講堂に集められた私たちは、お偉い方々の眠くなる話に耳を傾けている。
この学園には十五歳の少年少女たちが集められる。
もちろん全国民からというわけじゃない。王侯貴族と一部の平民たちに限られる。
王侯貴族は強制。平民たちは大商家の子か、特別に才能を認められた子だけが入学を許される。
そんな仕組みだからか、或いは王侯貴族なんて幼少期から教育を受けているのが当たり前だからか、私たちに入学試験なんてものはなかった。たぶん平民の皆はあった筈だけど。
代わりにというか、入学後にクラス決めのための試験があるそうだ。そっちも大したことはやらないらしいけれど。
しかしだ。一つだけ特別な試験……というより、儀式がある。これは将来を決めるとても大切な儀式だ。
つまりは魔術属性の判別式だ。
特別な水晶を用いて属性を明らかにするのだ。
私はもう知ってるけどね。これは別に珍しくもない。水晶が特別なものであるからといって、王侯貴族が手に入れられない程珍しいものでもないからだ。
ぶっちゃけ、だいたい皆先に調べてる。
神様から魔力を授かって学園に入学するまでには少しばかり時間があるからね。
更に言っちゃえば、あくまでこの儀式は、国が情報を集めるための仕組みでしかないのだ。
当然大義名分もある。魔術属性がわかっていた方が教育もやりやすい。全属性の魔術について学んでおくのは基本だけど、だからって使えない属性の専門家になったって意味はない。まあ、全くないとは言わないけどね。私は全部バッチリ活用してるし♪ 魔石技術はトップシークレットだけど♪
「あれ? 新入生代表ってお兄ちゃんじゃないの?」
壇上には知らない少年が立っている。
「……」
あ、はい。私語は慎みます。
それでお兄ちゃんは……あれ? 見当たらない?
そもそも入学式に来てないの? なんで?
……あ、そっか。
魔力を授からなかったことになっているからか。
本当はお兄ちゃんも魔力を持っているんだけど、あの洗礼式では失敗したことになってしまったのよね。私のせいで。
結局お兄ちゃんは今日まで誰にも伝えていないっぽい。そのせいで新入生代表の座も追われてしまったのかも。
だからって入学式までサボるかな? あのお兄ちゃんが?
……私より昼行灯してない?
むむむ……。気になる……。
私も抜け出したくなってきた。
そうだよ。昼行灯するならこんなところで真面目に話聞いてちゃダメだよね。
だからか。ユキノが付いて来ないって言い張ったのも。
学園には従者の同伴も認められているのにおかしいと思ったんよ。大概は同年代の従者を連れてくるものだけども。
だから実年齢を気にしてのものかと思っていたけど、そんなことはなかったのかもしれない。側にいたら私の昼行灯計画を邪魔せざるを得ないから遠慮していたのかもしれない。
それはそうと、なんでお兄ちゃんが新入生代表じゃないなら、その代わりが私じゃないんだろう? 順番的に言えば私が二番手では? これでも王女ぞ? 助かるけどさ。目立ちたくないし。……あれか? 禁書庫の件? 実はまだ怒ってる? そんな様子には見えなかったけど……。
問題児は目立たせられないという判断なのかもしれない。
……あかん。昼行灯ってそういうんじゃないんだよなぁ。
いやしかし……大丈夫。まだ軌道修正出来るさ。
何せ今日から学園生だからね♪ ここから始まるのだよ♪




