02-02.判別式
「殿下。こちらへ」
ありゃ。王族は別枠なのかしら。
入学式が終わり、そのまますぐに判別式が始まった。
私は教員に呼ばれ、他の生徒たちの列から連れ出された。
洗礼式の時と同じように王族だから最後なのかと思っていたけど、どうにもそういうわけではないらしい。
教員は講堂を離れて校舎の中を歩いて行く。
判別式も始まったばかりなのに、この先に誰が残っているというのだろうか。
「こちらへ」
教室? なんで?
「ご足労頂き申し訳ございません。殿下」
えっと。確か学園長だ。
学園ってあまり身分には拘らないのかと思っていたけど、特にそういうこともないらしい。普通に王族は優遇されるようだ。私みたいなギリギリ端っこに引っかかっている程度の者にまで傅いている。学園の長が。
なら尚の事お兄ちゃんはどうしちゃったんだろう?
魔力を得られなかったから代表にふさわしくないって言われちゃうのもわからなくはないけど、この国では数少ない王子が蔑ろにされちゃうなんてことがあるのだろうか。魔力はそれ程までに重要なものなのだろうか。
「殿下。判別の儀はこちらにて執り行わせて頂きます」
「お待ちください! 陛下は免除せよとお達しになられた筈です!」
ユキノが私を庇って前に出た。
というかそんな話になってたの? 私知らないよ?
なんでユキノが知ってるの?
「どうかご理解を」
「なりません! 行きますよ! クー様!」
え? ちょっと?
ユキノが私の手を掴んで引き返した。
「退きなさい!」
扉の前では、二人の教師が跪いていた。
どう見ても、私たちを引き止めるためだ。
学園長と二人の教師は、王命に逆らって勝手に私の魔力を見極めようとしているらしい。
「ユキノ。大丈夫」
「ですが!」
「大丈夫。心配ないよ」
準備は済ませてきたからね♪
「……畏まりました」
ユキノは渋々引いてくれた。
私はまた振り返り、学園長の前にある水晶に近づいて手の平をかざした。
「……風の属性? しかもこの魔力量は……そんな筈が!」
キッと私を睨む学園長。
「殿下! その手袋をお取りください!」
「無礼ですよ!」
今度こそ許さぬと、ユキノが再び学園長の前に立ち塞がった。
「このお方をどなたと心得るのです!」
お~♪ 水戸のお爺ちゃんみたい♪
「くっ! メイド風情が!!」
突然学園長が手を伸ばしてきた。
ユキノがその手首を掴んで引っ張り、水晶の置かれたテーブル越しに放り投げた。
今の背負投でもなんでもなく、単純に腕力だけでやってたよ……。学園長大丈夫かな? 腕抜けてない?
「ぐはぁっ!?」
扉に叩きつけられ、そのままの勢いで廊下に放り出される学園長。そして巻き込まれる二人の教師。
「あなた方は何者ですか」
ユキノはいつの間にか三人の直ぐ側に移動していた。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁああああ!!!」
逃げ出そうとしていた一人の足を踏み砕いてその場に縫い留める。
学園長(モドキ?)ともう一人の教師は既に意識を失っている。
「本物はどこへやったのですか?」
「ぐぁぁぁぁぁぁああああ!!」
まだ意識を失っていなかった一人に完全に狙いを定めたユキノ。腕を取って押さえつけながら、グリグリギリギリと捻り上げて尋問を続けていく。
「答えなさい!」
「……」
あらま。気を失っちゃった。
「ユキノ。やり過ぎ」
「……申し訳ございません。クー様」
珍しく本気でブチギレてたね。加減を間違えるなんてユキノらしくもない。
「同行して正解でした」
「嫌な予感でもしてたの?」
「そんなところです」
だから今朝は土壇場で考え直したんだね。
寂しくて我慢できなくなってくれたのかと思ってたから、地味にショックだ。
「こいつらは?」
「クー様こそ何かご存知なのでは?」
「私は知らないよ。知ってることは全部ユキノにだって伝えてるし♪」
「先程の判定水晶を騙した仕込みには覚えがございません」
「あれはほら♪ ……ごめん。言うの忘れてた」
「また魔石を使いましたね? 何度も言っている筈です」
「ごめんごめん。ダメだよね。禁忌だもんね。わかってる。だからそれより今はさ」
「帰ったら説教です。お忘れなく」
「は~い~……」




