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虚空少女の風騙り ~ 英雄王女の異世界昼行灯 ~  作者: こみやし
05.英雄王女

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05-21.成長


「行くわよ♪ クラちゃん♪」



「ええ♪ 出発ですわ♪ クーちゃん♪」


 今日は週末。東方の離島への遠征だ。


 敵はオーガの群れ。援軍は私とクラリスと青龍(ドラコー)。



「あら? 青龍はまだかしら?」


「おかしいですわね? いつもなら呼んだらすぐに来てくれるのですが……」


 青龍の姿は影も形も見当たらない。


 ……。


 …………。


 ………………。



「「……あれ?」」




----------------------




「青龍の居場所? 反応は近くだよ。もう来てる筈だけど」


 あら。入れ違いになってしまったのかしら。


 一旦部屋に戻ってお姉ちゃんに風の魔術で調べてもらうと、そんな答えが返ってきた。



「ところでお姉ちゃん。今何時だと思ってるの?」


「説教はやめて~……」


「見送りにも来ないで。まさかまだ寝ているとは思わなかったわ」


「昨日遅くまで……うぇっぷ」


「まさか飲んだの? 別にお酒の匂いはしないけど……」


「夢の中でね……頭痛い……」


「あのねぇ……」


 お説教したいのは山々だけど、今はそんな事をしている場合じゃない。帰るまではお預けだ。



「今晩私はいないけど、あまり羽目を外し過ぎないでね」


「いってら~」


 ……。



「ちょっ!? クーちゃん!? なんで引っ張るの!?」


「やっぱり見送りくらい来なさいよ」


「わたしまだパジャマぁ!?」


「いいじゃない。別に。誰も見ちゃいないわよ」


「よくないってばぁ~!」


 問答無用。


 私はお姉ちゃんを引きずって再び庭までやってきた。



「やっぱり居ないじゃない」


 青龍の姿は影も形も見当たらない。あれだけの巨体が見えない筈はないのに。まさか隠形でも使っているのだろうか。



「……? まあ!?」


 え?


 クラリスの声に振り向くと、いつの間にか青い髪の少女が立っていた。


 クラリスの袖を掴んで注意を引いている。



「もしかしてドラコー?」


「(こくり)」


 なんでまたそんな姿に。それじゃあ運べないじゃない。


『最初の感想としてはどうかと思うわ』


 フィリアが何かしたの?


『いいえ。フィリアは何も知らないわ』


『フィリアの性格や話し方は段々クーちゃんに似てきたね』


 イロイ。あなたが犯人ね。


『ひどい……』


 違うの? ドラコーが自分で?


『みたいだね。どうやら鍛え直してきたみたい』


 今日のために? 魔獣を倒して?


『うん。力の総量が増えてるもん。それに水以外の魔力も纏ってるの。たぶん相当な量を食らってきた筈だよ。それこそダンジョン一個分くらいは……え? そういうこと?』


 ……まさかあれ、フィリアスを取り込んで得た力なんじゃないでしょうね。


『間違いないわ。フィリアにはわかる。あれはフィリアたちと同じフィリアスよ』


 取り込むどころか乗っ取られてるじゃない……。


『ううん。意識は間違いなくドラコーのものだよ』


 四神獣の一体がフィリアス化しちゃったわけだけれども。真の主たる女神としては、それでいいの?


『う~ん……わかんない』


 あのね~……。


『心配要らないわ。フィリアスはフィリアが支配する。この世界のフィリアスたちの王はこのフィリアだもの』


 他にはヒマリンとドラコーしかいないじゃない。


『いずれ増えるわ。ダンジョンの増加は止められないもの』


 フィリアは何を知ってるの?


『その話は追々ね。そろそろ出発しないと間に合わないわ』


 フィリアのキャラブレが無くなった代わりに、なんだか少し冷たくなった気がする。


『気の所為よ。フィリアの全てはクーのものよ。フィリアはただ知っただけ。フィリアのなすべきことを』


 ……イロイ。


『……知らないよ~』


 何がなんなんだか……。


『安心して♪ フィリアがクーを導いてあげる♪ この世界の真の主たる存在に♪』


 ……イロイ。


『……あはは~』


 笑ってる場合じゃないわよ。乗っ取られちゃうわよ。


『まあそん時はそん時だね♪ 我もクーちゃんのヒロインの一人として置いてくれるなら構わないよ♪』


『当然でしょ。この世界の全てがクーのものよ。イロイは貴重な女神だもの。もちろん放置はしないわ』


『やった♪ 交渉成立♪』


 あのねぇ……。

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