05-08.家族デート
「今週末は南方の街道よ。ヒマリ。付き合いなさい」
「イエス♪ マイロード♪」
さて。この機会を無駄にする手はないわね。
「クーちゃん、ヒマリルートも始めるの?」
「そうよ。何か文句ある?」
「あるに決まってるじゃん。何を開き直ってるのさ」
面倒くさいお姉ちゃんだ。
「えへへ~♪ ボクも魔王様に攻略されちゃうんだ~♪」
モジモジてれてれヒマリん。もう攻略済んでない?
「誤解しないで。お姉ちゃん。これは浮気ではないわ」
「浮気だよ!!」
「話を聞きなさいよ」
急に大きな声出されたらびっくりするじゃない。
「お姉ちゃん。私は約束を破らないわ」
「釣ったお魚に餌をあげないなら浮気にならないとでも?」
「そうよ。私は線引きを徹底するわ。私から惚れはしない。けれど家族や部下を惚れさせるのは長の務めよ。要はそれくらい魅力的な人間を目指したいだけなの。認めて頂戴」
「くっ! なんだかんだ言って結局クーちゃんは!」
「私は愛する家族と仲良くなりたいの。ただ共に暮らし、同じ大望を抱くだけでは物足りないの。私は心が欲しい。皆の心が私に向いていてほしい。そうでないと安心できないの。わかるでしょ。私が家族に対して臆病なのは」
「それはズルいよぉ! それ言われたら断れないじゃんかぁ!!」
でしょうね♪ ふふふ♪
「ありがとう♪ お姉ちゃん♪」
「ぐぬぬぅ~! 意地悪クーちゃんめぇ~!」
「私は優しいお姉ちゃんが大好きよ♪」
私にはいつまでも甘々でいてね♪ お姉ちゃん♪
「もうもうもう! 裏切ったら許さないんだからね!!」
「ええもちろん♪ 私の恋人はお姉ちゃんだけよ♪ それが崩れるかはお姉ちゃん次第よ♪」
お姉ちゃんこそ約束を忘れないでよね♪
「絶対負けないし! わたしがクーちゃん独り占めするんだもん!!」
「頑張って♪ 期待してる♪」
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学園での授業が終わり、一度侯爵邸へ帰ってきた。
「さあヒマリ♪ 放課後デートに行きましょう♪ 王都を案内して差し上げるわ♪」
だいぶ今更だけど♪ 留学生には必要よね♪
「やったぁ~♪」
「ギルティ!!!」
またしてもお姉ちゃんが絡んできた。
いつも隣に居るから、当然ちゃあ当然なんだけれども。
「もちろんアヤメも一緒よ。早く支度なさい」
メイド服で連れ歩くのも悪くはないけれど。
「だからって! だいたいクーちゃん! 案内出来る程王都に詳しくなんてないじゃんかぁ!」
「だからアヤメが一緒なのよ。引率は任せたわ」
「なんて悪辣な! わたしに恋人が他の子を口説く手伝いをしろって言うの!?」
もう。事情は説明したじゃない。
お姉ちゃんだって認めてくれたくせに。
「わかったわ。デートという言葉は訂正しましょう。友達として遊びに行きたいわ。付き合いなさい」
仕方がないから譲歩してあげましょう。
「もう腹づもりはわかってるんだからね!」
「腹づもりも何も全部説明しているじゃない。私は隠れてコソコソ浮気をしているわけではないわ」
「浮気って言ったぁ! やっぱり自覚あるんじゃん!!」
こいつ……。
『流石に面倒くさくなってきたクーちゃんであった』
モノローグはやめなさい。
『は~い♪ 今度からクーちゃんに言うね♪ 必ず♪』
それはそれで面倒くさいわね。
『ひどい~』
「もういいわ。他の人に頼むから」
「他の人って誰さ。まさかまた家族を増やすつもり?」
「何バカなこと言ってるのよ。ユキノに決まってるでしょ」
「やっぱりユキノ先輩も攻略するつもりなんだぁ!!」
プツン。
『あわわわ!?』
私は白黒結界を起動した。
私とヒマリを除いた全ての時間が静止する。
「行くわよ。ヒマリ」
「いいの?」
「いいの。先ずはユキノと合流よ。いらっしゃい」
「イエス♪ マイロード♪」
「違うでしょ。今は友達で家族よ」
「がってん♪ クーちゃん♪」
「よろしい♪」
私はヒマリの手を取って歩き出した。




