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虚空少女の風騙り ~ 英雄王女の異世界昼行灯 ~  作者: こみやし
05.英雄王女

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05-07.大成功


「「「「「英雄王女様!! バンザ~~イ!!!」」」」」



 よしよし♪ これで任務達成ね♪


 魔獣の亡骸を村へと持ち帰ると、あっという間に村人たちが集まってきた。皆涙を流して戦果を喜んでくれた。


 ついでに私こそが英雄王女本人であると名乗っておいた。


 魔剣(仮)を掲げて、地水火風のエフェクトを纏わせながら、我こそは! って名乗っておいた。


 皆大盛り上がりだ。早速お祭りの準備を始めた。


 私はこっそり収納魔術から取り出した大量の救援物資を村の外れに置いておいた。仲間たちがいつの間にか届けてくれていたことにして村の人たちに渡した。



 もちろん私たちもお祭りには参加した。これもファンサービスだ。予定を前倒して一日目で全て終わったので出来たことだ。本来なら先に一晩泊まって……なんて考えていたけれど、この村の状況を見てはそうも言ってられなかったのだ。


 祭りの準備も楽しかった。とっくに日は暮れているのに、村の人たちと一緒になって山のような料理を作り上げた。こういうのって王都では経験出来ないのよね♪ 私姫様だし♪


 飲めや歌えやのお祭りは一晩中続いた。


 お仲間たちも是非と誘われたけど、そっちは物資を余計に消費しては元も子もないからと辞退したことにしておいた。流石にティグリスに来てもらうわけにもいかないもんね。



 翌朝、私たちは皆に見送られながら村から旅立った。


 魔獣の亡骸は収納空間にしまっておいた。もちろん人食い魔獣なんて食べないし。王都に持って帰って報告しなきゃだし。村の人たちには仲間たちが回収したと伝えておいた。



「バッチリだったね。クーちゃん。良く出来ました」


 帰りの白虎(ティグリス)の背中でお姉ちゃんが私の頭を撫でて褒めてくれた。



「ふふ♪ これが何より嬉しいわね♪」


「あはは♪ 大げさだよ♪」


 イチャイチャ♪ ラブラブ♪



『いいな~。我も飲みたかったな~』


 まだ言ってるし……。この駄女神め……。


『ひっど~い』


 ちょっと空気読みなさいよ。今はお姉ちゃんとの時間よ。


『もうちょっとくらい我の相手もしてくれたって~』



「クーちゃん。寝てていいよ。わたしが支えてるから」


 後ろから私を抱えるお姉ちゃんが、優しく囁きかけてくれた。


『それだぁ! アーちゃんナイスアイディア♪』


 ちょっと。私だって疲れているのよ。


『だいじょびだいじょび♪ 夢の中だからぁ♪』


 なんでイロイの相手までしなきゃなんないのよ。ゆっくり寝かせなさいよ。


『ひどい!?』


 邪魔は許さないわよ。折角お姉ちゃんの腕の中で眠れるんだから。


『毎晩腕枕で寝てるじゃん!?』


 それはそれ。これはこれよ。


『いいなぁ! ふかふか毛皮に大好きな人の腕の中! いいなぁ~~!』


 わかるなら邪魔しないでよ。


『絶対降臨するもん! クーちゃんの腕枕で寝るもん!』


 嫌よ。痺れるじゃない。


『自分は姉に強制してるくせに!?』


 私は妹だもの。当然よ。


『なんて勝手な!?』


 お姉ちゃんが喜んでるんだから良いのよ。


『そうだよ! アーちゃんはクーちゃんが寝た後!』


 しゃらっぷ!!


『!?』


 野暮よ! わざわざ口にしないで頂戴!!


『くっ! バカップルめぇ!』


 もう。騒がしくて眠れないじゃない。



「……クーちゃん? もう寝ちゃった?」


 お姉ちゃんが小さな声で問いかけてきた。


 イロイと脳内会話を続けている間、目を瞑ってお姉ちゃんに全身を預けていたから、早くも眠りに落ちたと判断したのだろう。


 私が返事をせずにいると、お姉ちゃんは私を抱える腕を少しだけずらした。



「う……」


「っ!?」


 くすぐったさに思わず声が漏れてしまう。


 お姉ちゃんはすぐに手の動きを止めて固まった。


『ほらぁ! イタズラする気満々だよぉ!? ここどこだと思ってるのかなぁ! ティグリスの背中の上だよぉ! しかもわざわざ人に目撃されるように速度落として街道走ってるんだよぉ! こんな状況でもお構いなしだよぉ!』


 うるっさいわね。


『もっと危機感持って! 英雄王女のイメージ守って!』


 ……もう。



「……ふぅ」


 私が反応を示さずにいると、お姉ちゃんは安堵の息を漏らし、再びモゾモゾと手を動かし始めた。



「アヤメ」


「はひゃっ!?」


「……お外ではダメよ。帰るまで我慢なさい」


「くちゃ!? くくくくくーちゃん!? 起きてたの!? というか知って!? うそ!? 全部!? いつからぁ!?」


「おやすみ。お姉ちゃん」


 私は混乱を続けるお姉ちゃんに構わず、全身から力を抜いて睡魔と愛しのお姉ちゃんに身を委ねた。

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