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虚空少女の風騙り ~ 英雄王女の異世界昼行灯 ~  作者: こみやし
05.英雄王女

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05-04.週明けの災難


「おはよう。クラリス」



「おはようございます♪ クー殿下♪」


 クラリスは今日も元気いっぱいね♪ それに輪をかけてご機嫌だわ♪ うふふ♪


 クラリスって見ていると和むのよね~。身長は低いわ童顔だわ。正直同学年だとは到底思えない。今日も可愛いわ♪



「クラリスは何か良い夢でも見たのかしら♪」


「ふふふ♪ 実はお友達との登校って初めてなんですの♪ わたくしそれが楽しみで楽しみで♪」


 あらま。



「ごめんなさい」


「……? どうしたんですの? 何故クー殿下が謝られていらっしゃるんですの?」


「クラリスは一緒に登校出来ないの」


「……へ?」


「食事が済んだら寮のクラリスの部屋に転移門を繋ぐわ。悪いけどクラリスにはそこから一人で登校してもらわないといけないの」


「えぇ~~~!?!?」


 ほんとごめん。先に言っておいてあげるべきだったわね。



「クーちゃんいつの間にクラリスの部屋なんて行ったの?」


 お姉ちゃんがジト目だ。最近のお姉ちゃんは私の動向を全て把握していないと機嫌を損ねるのだ。


 ちょっと面倒くさい。けど嬉しい♪ 複雑な妹心♪



「行ってないわよ」


「え? 転移先をイメージ出来なきゃ転移門は開けないんじゃなかった?」


「イロイが知っていたの。イメージを共有してもらったわ」


 初めて役に立ったわね。この駄女神。


『ひっど~い』


 はいはい。



「覗き?」


 言いたいことはわかるわ。お姉ちゃん。



「クラリスも転生者だから」


「……まあそういうことにしておいてやるか」


 お姉ちゃん、イロイに厳しいわね。


『困ったね~』


 頑張りなさいよ。


『は~い♪』


 呑気なこって。



「……」


 あら? クラリスが固まったまま動かないわ?



「クラリス? 大丈夫?」


 心配性お姉ちゃんが近づいた。



「……気を失ってる」


 ……マジか。




----------------------




「おい。何故ベルドール子爵令嬢が登校していない」


 お兄ちゃん怒ってるぅ……。



「ただいま召喚致します」


 いいかげん目覚めているわよね……。



「やめろ」


「……あ、はい」


 今更だよね……。もう昼休みだし……。


 昼休みでもないと、二人でコソコソ内緒話なんて出来ないのだ。この学園。王族ってだけでいつも注目されているし。


 幸い昼休みは王族専用の個室が用意されているから、昼食ついでに密会も可能なのだけれども。便利。


 歴代の王族も似たような苦痛を感じて個室を作ったのかしら? 気持ちはよくわかる。密会の必要が無くたって、気の休まる場所は欲しいもの。



「あの子、今朝は体調が優れなくて……」


「先に報告を上げろ。手を打てと頼んできたのはお前だろうが」


「おっしゃる通りです。申し訳ございませんでした」


「もはや問題は無い。明日からは妙な小細工など弄せず側に置いておけ」


「ありがとう。お兄ちゃん」


 仕事が早いぜ……。流石出来る男だぜ……。



「ちなみにどうやったの?」


「……お前が知るべきことではない」


 本当に何やったのさ。



「あんまり無茶しないでね」


「……」


 どの口でって顔してる。



「私にも出来ることはさせてもらうから。お兄ちゃんが王位を継げるよう尽力するから。絶対幸せにしてみせるから」


 妹として……だけど。



「ならば大人しくしていろ」


「今度デートしましょう」


「……なんだと?」


「必要でしょ。派閥を纏めるには」


 仲の良いところを見せつけないとね。



「……いいや。それより頼みたいことが出来た」


「なんなりと。お兄様」


「……お前には討伐を任せる」


 めっちゃ言いづらそう。けど踏み込んできた。


 さすがお兄ちゃん。私の変化に気づいてくれたのね。



「何処へでも赴きましょう」


「……本当に良いのだな? お前の望みには」


「いいの。私気付いたの。さっさと終わらせてしまえばいいんだって。ママみたいに役目を終えて引っ込むの。それが私の目指すべき自由なのよ」


「……そうか」


「だから本当に遠慮なく使って頂戴」


「ああ。英雄王女の名を利用させてもらうとしよう」


「ありがとう♪ お兄ちゃん♪」

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