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虚空少女の風騙り ~ 英雄王女の異世界昼行灯 ~  作者: こみやし
05.英雄王女

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05-01.魔王城内見


「魔王城を見に行きましょう♪」



「イエス♪ マイロード♪」


 私はヒマリとアヤメをお供に、朱雀(アヴィス)に乗り込んだ。


 アヴィスの高速飛行でも半日程掛かかる孤島に、その廃城は建っていた。



「ひゃぁ~。ボロッボロだね~」


「うふふ♪ 雰囲気あるじゃない♪」


「そうかな? 潮風に晒されて崩れそうだよ? というか言う程雰囲気ある? 陽気な南国じゃない?」


「もう。アヤメはわかってないわね。鬼ヶ島みたいなものじゃない」


「そう? けどここじゃ、魔獣たちを集められなくない? 作るんでしょ? 魔王軍」


「そうね~……確かに陸路は欲しいかしら。玄武(テストゥード)に船代わりになってもらえないかしら?」


「あれ陸亀だよ。地属性だよ。絶対水中呼吸出来ないよ。可哀想だよ。沈めちゃったら」


 それもそうね。


 私が転移させて回るのだって流石にキリがないわよねぇ。



「じゃあ次の場所♪ 行ってみよう♪」


 あら。候補地はここだけじゃなかったのね。



 私たちは再びアヴィスに乗り込んだ。




----------------------




 次にアヴィスが止まったのは、ぐつぐつと煮え滾るマグマが流れ続ける火山地帯だった。



「この地下に? 古のドワーフの? 没。次行きましょう」


「イエス♪ マイロード♪」


 折角だけど、物件を見ることも無く飛び立った。




----------------------




 その次はジャングルの中だった。ここも蒸し暑い。しかも城というより遺跡だ。悪いけど没。イメージと合わないわ。


 更に次は毒沼、深海、大渓谷と続いていった。



「誰がこんなところに城建てたの?」


 教えて、イロイ。


『さぁ♪ 我ってば、結構最近赴任してきたばっかなんだよね♪ 前任者の指定通りに治めてはいるけど、詳しくは知らないんだよね♪』


 頼りにならない女神様だ。


『む~。しゃあないじゃ~ん』


 ちなみに最近ってどれくらい?


『二千年くらい?』


 十分に前じゃない。


『守護神としては新参もいいとこだよ♪』


 ちょっとその辺、後で詳しく聞かせなさい。


『うん♪ 約束♪ 今晩お茶会しようね♪ クーちゃん♪』


 ええ。約束よ。


『やった♪』




----------------------




「次が最後のとっておき♪」


「なら最初から」


「アヤメ。それは無粋よ」


 なんだかんだと面白かったじゃない。廃城観光。


 お姉ちゃんにはそういう趣味無いのかしら?



「うわさぶっ!?」


 アヴィスから離れた途端に突然きたわね。というかここ雪山だものね。そりゃ寒いわ。


 私は結界を身体に纏う形で全員に施した。



「おぉ♪ さっすがクーちゃん♪」


「ここも魔獣たちが暮らすには向いていないかしら」


「それぞれの属性に適した場所を拠点にさせれば?」


「ならアヤメは渓谷担当ね。ヒマリはアヴィスと火山でいいのかしら?」


「単身赴任!? それはやだよぉ!」


「もう。アヤメは我儘ね」


 自分で言い出したんじゃない。



「悩みどころね。確かにこの城は一番魔王城っぽいわ。設備も悪くない。整備すれば十分に暖も取れそうね」


「どうぞ魔王様♪ こっちの部屋は済んでるよ♪」


 相変わらず仕事が早いわね。ヒマリは。


 ヒマリに案内されたのは謁見の間だ。その最奥には立派な玉座が鎮座していた。



「うん。悪くないわ。悪くない」


「すっごく気に入ってるね。クーちゃん」


「実は魔王様♪ この山の麓にも廃都があるんだよ♪」


「いいわ。そこを整備なさい。魔獣たちが暮らすエリアも創り上げなさい。この辺り一帯を魔王国の領土とするわ♪」


「イエス♪ マイロード♪」


「次からは私に声を掛けなさい。いつでも転移門を繋ぐわ」


「ありがとう♪ 魔王様♪」


「魔王を名乗るなら他の名前も考えておかない? 流石にクーフェリアのまま魔王として活動するのはマズいと思う」


 それもそうね。



「ならアヤメが考えなさい」


「もう。すぐ頼る」


「頼りにしているわ♪ お姉ちゃんたち♪」

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