04-03.新たな決意
私は思うのだ。自分にはカリスマ性なんて欠片も無いと。
そもそも私自身がそれを遠ざけてきたんだもの。当然だ。
けれどアヤメは違う。この姉はなんだかんだと人を惹きつける。
結局ユキノは、私とアヤメの交際を認めてくれている。
ノーラやルヴィも、アヤメを平民のメイドだなんて全く思っていない。私の姉として……つまりは自分の妹とすら言える程に可愛がってくれている。
ヒマリだって、私よりアヤメとの方が仲が良いくらいだ。二月にも満たぬ期間ですっかり親友のような間柄だ。
クラリスも、アヤメのことは素直に先輩として尊敬している様子だ。
何よりアヤメは、あのお兄ちゃんが目を付けて私の側近に充てがったのだ。その時点で只者ではないと言い切れる。
実際アヤメは莫大な魔力を持つ転生者で、私の前世の姉だった。流石お兄ちゃんと言うべきか。引き合わせてくれたお兄ちゃんにも感謝している。
もちろん世界を渡ってまで私の姉になってくれたお姉ちゃんにはどれだけ感謝してもしたりない。お兄ちゃんや女神様の思惑がどうであれ、お姉ちゃんと再び出会えた全ての奇跡に感謝したい。
結局のところ。私はお姉ちゃんにゾッコンなのだ。だからお姉ちゃんにこそカリスマ性があると思うのだ。そう在ってほしいのだ。
私はお姉ちゃんを持ち上げよう。私がリーダーシップを取るのではなく、お姉ちゃんを引き立てるために全力を尽くすとしよう。
それが私の新しい「昼行灯」だ。
ここから新しい「私たち」を始めよう。
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「やぁやぁ♪ 久しいね♪ クーちゃん♪ ぷっはぁ~♪」
今日も今日とて白いおヒゲを付けた女神様。
別にプレゼントを届けに来てくれたわけじゃない。
真っ赤な衣装に身を包んでいるわけでもない。
今日のおつまみは胡麻煎餅とダックワーズだ。相変わらず謎な組み合わせだ。私も食べたい。
「ささ♪ どうぞどうぞ♪ 遠慮しないで♪ ぐびぐび♪」
むしろここは私の夢の中でしょうに。
そうか。だからおつまみが私の好物ばかりなのか。
だからって合わせて食べたりはしなかったけども。
「頂きます」
「どうぞ~♪」
私も席に付いておやつを摘む。いつの間にか手元にオレンジジュースが現れていた。……懐かしい。これも私の好きなやつだ。
「どうも」
「いえいえ~♪」
グビグビとジョッキを傾け続ける女神様。
たまにバリボリと煎餅を口に放り込む。美人はこんなんでも絵になるものだ……流石に無理がある?
「なんか失礼なこと考えてるね。クーちゃん」
「女神様は美人だなって」
「はっ!? もしかして我もハーレムに!?」
「ううん。私にはお姉ちゃんが居てくれるから十分。ありがとう、女神様。もう一度お姉ちゃんと会えたのは女神様のお陰なんだよね」
「いえいえ~♪ ……うん? あれ? 我振られた?」
「あはは♪ もう♪ 女神様ったら♪」
「なんで笑われているのかしら? まいっか」
軽いなぁ~♪
「今日はどうしたの?」
「ふっふっふ♪ もちろんご褒美タ~イムだぜぃ♪ おめでとう♪ クーちゃん♪ ミッチョンコンプリート♪」
……? みっちょん? 今噛んだ?
「転生者を集めたから?」
「そうそ♪ 何かほしーものはあるかにゃぁ~♪ ぐぴ♪」
だいぶ気持ち良くなっていらっしゃる。
気付いたらジョッキが山と積まれている。夢の中だからって好き放題しすぎじゃなかろうか。せめて片付けない?
「ほれほれ~♪ 遠慮せじゅに~♪ ひっく♪」
今頼んじゃマズいんじゃなかろうか。
「例えばどんな願いを叶えてくださるの? 神様にお願いするのは初めてだから感覚がわからなくて」
「え~♪ そんなことないよ~♪ クーちゃんお願いしたじゃ~ん♪ し・か・も~♪ 強引に~♪ ひっく♪」
強引に?
「ごそって~♪ 持ってたよ~♪ あやうく~♪ 引っ張り出されちゃうかと~♪ 思ったよ~♪ うぇっぷ」
ちょっ!?
「あ~……ごめ……おろろろろろろ~」
うわぁ!?
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「……ごめんなさい」
「い、いえ……大丈夫?」
「はい。もうすっかり。……お手数お掛けしました」
すっかり縮こまってしまった。
「なら続きはまた今度にでも……」
「ま、待って!! 待って待ってクーちゃ! うぐっ!!」
ああ! 急に立ち上がるから!!
「待って……このまま戻らせたら我がただのゲロインになっちゃう……」
もう手遅れだよ……女神様……。
「そうだ! ヒロっぐぶっ!?」
「ダメだってばぁ!」
再び叫びだしそうな女神様を宥めて落ち着かせる。
「……す、すまないねぇ」
「いいんですよ。女神様」
だからもう大人しくしていてください。
「……最後にお願いだよ。クーちゃん」
最後? これが?
「君はもう直目覚める。時間がない」
ああ。そういう意味。
「我にやり直しのチャンスを……どうか認めておくれよ」
認める? なんだか妙な言い回しね。
「頼むよ……クーちゃん……」
やばい。もう時間がないんだった。私にもわかる。目覚めはもうすぐそこだ。
「はい。また近い内に」
「ありがとう……クーちゃん」
女神様の青ざめた笑顔を最後に、夢の世界は遠ざかっていった。




