04-01.五人目の転生者
「またサボられましたわね! クー殿下!!」
ちっこいのがやってきた。
今日も可愛いわね。委員長ちゃん。
「ご容赦を。クラリス様。本日は政務ですわ」
「それはっ!! 誠に申し訳ございませんですわ!! わたくし早合点してしまいましたの!!」
素直♪
「嘘だよ。クラリス」
「またですの!?」
もう。なんでバラすのよ。アヤメったら。
「クー殿下! 今日という今日こそ許しませんの!!」
今日も今日とて委員長ちゃん(あだ名)は、真面目に不真面目王女の相手をしてくれるようだ。
「決闘なさいますか?」
「なさいませんの!! 勝てませんの!!」
あらま。ちょっと前までは自分から挑んできていたのに。
「勝てないから決闘をなさらないのですか? わたくしはいつでも受け付けておりますのに? 何度でも挑戦して実力を磨かれては如何ですか? いずれ勝てるようになるやもしれませんわ」
「あと一回負けたら終わりですの! そういう約束なんですの!!」
あら? もうそんなに? ひーふーみー……ほんとだ。次に私が勝ったら約束通り委員長ちゃんは私のものね♪
「何も終わりは致しません。わたくしのものとなってくださいましと、お願い申し上げただけではありませんか」
「やっぱり終わりですの!!」
大げさな。私のものったって、別に奴隷落ちしろと言ってるわけでもあるまいし。
「姫の側近に加わるのですよ? 悪い話しではないと思うのですが」
将来の安泰は約束するわよ♪ お給金ガッポガッポ♪
「不真面目なクー殿下の下では先行き真っ暗ですの!」
酷い言い草だ。この子は噂を聞いていないのかしら。
「ならあなたが側に付いて正されてみては?」
「はっ!! 名案ですわ!!」
チョロい。
「なら決まりね♪ これからよろしく♪ クラリス♪」
握手握手♪
「言葉遣いを崩されてはなりませんわ! ここは学園ですのよ!!」
早速指導が入った。目敏いな。意外と。
「良いのよ。クラリスは私の側近だもの」
「そうでしたわ! 失礼致しましたわ!!」
チョロ可愛い。
「さあ。クラリスの家に行きましょう。子爵にも挨拶をせねばなりませんもの」
「おやめくださいませ!! 父が卒倒してしまいますの!」
流石にマズいかぁ。子爵の屋敷を姫が直接訪れるのは。
かと言って侯爵邸に呼び出すのもなぁ。お兄ちゃんに仲介を頼もうかな。それかユキノにでも行ってもらおうかしら。
「そもそもクー殿下! 本日は学園に何をしにいらしたんですの!? もう授業も終わってしまいましたの!! 放課後ですの!! サボりすぎですの!!」
「あなたに会いに来たのよ。クラリス」
「ななっ!? なんと!?」
あら。赤くなっちゃった♪
「前々から伝えていたでしょう? 私はあなたに興味があるの。今日からこのまま連れ帰るわ。子爵には伝えておくから安心なさい」
「それは何故ですの!?」
「屋敷に着いてから話してあげるわ」
学園で話すようなことではないもの。
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「帰ったわ」
「おかえりなさいませ♪ クー♪」
出たわね。問題児。
「ルヴィ。今日は大人しくしていたかしら?」
「クーがもう少し構ってくれたら何もしませんよ♪」
ウリウリと、私を抱きしめて頬ずりをかます、元メルヴィ第四王女。
「すっかりクーフェリアに取られてしまったわね」
そんな私たちを見て微笑ましげな、元エレオノーラ第三王女。
二人はルヴィ、ノーラと名前を変えて、我が家のメイドを務めている。片や隣国に嫁ぎ、片や病魔に侵されこの世を去った、既にアルミディア王国には存在しない筈の者たちだ。
ついでにメルヴィの従者だったモーラも雇っているけど、そっちはユキノに任せきりだ。本当についでだからね。他所で口を割られたら困るから抱え込んでいるだけだもの。あっちは心配が無くなったら実家にでも返すとしよう。流石に無理? ならヒマリの部下として雇ってもらおう。侯爵邸は人増えすぎたし。もっと静かに暮らしたいのだ。私は。
「だ、第三王女殿下と第四王女殿下!? 何故!? どちらも既にいらっしゃられない筈では!?」
委員長ちゃんことクラリスが、想定外の光景に困惑している。二人の顔を知っていたのね。ちょっと予想外。私の噂は掴んでいないようだし。……いえ。これこそ下級貴族としては当然の反応なのかもしれないわね。
「奥へ行きましょう。色々説明したいことがあるの」
私が何故クラリスに目を付けたのか。
当然彼女が五人目の転生者だからだ。




