↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虚空少女の風騙り ~ 英雄王女の異世界昼行灯 ~  作者: こみやし
03.夏季休暇編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
49/126

03-23.家庭愛


「なるほどね。それでリアちゃんたちは帰れないと」



 私はソラールに全て伝えてみることにした。


 ソラールはすぐに頷いて言葉を続けた。



「兄様は見た通りの正直者だよ。間違いなく使者も送ってるね。こっちで止めたとしたら配下の誰かじゃないかな。いいよ。調べてみる。少し待っててね♪」


「ありがとう。頼むわね」


 本当は自分で調べてみようと思っていたけど、ソラールには何か当てがあるようだ。一旦任せてみるとしよう。




----------------------




「クーちゃん、信用しすぎ」


 その日の夜。


 アヤメは二人きりになるなり頬を膨らませた。


 この私を膝に乗せておきながらなんて顔してるのよ。



「私は王よ。忠義を示した者に信頼を返すのは度量の内よ」


「……そんな風に開き直ってほしくはなかったよ」


 アヤメが私を変えたのよ。良くも悪くもね。



「あなたには感謝しているわ。アヤメ」


「突然なにさ。慰めてるの?」


「違うわよ。本心を伝えているの」


 私はアヤメの頬に口づけた。



「……なんか思ってたのと全然違う」


「妹にされてるみたい?」


「……」


 渋い表情だ。妹に関して余程思うところがあるようだ。これは後悔かしら?



「降りた方がいいかしら?」


「ダメ」


 アヤメは私を抱き締めた。私は特に抵抗もしなかった。



「……クーちゃんはさ」


「なぁに?」


「……きっとわたしと同じだよね」


「……ええそうね」


「何のことかわかってる?」


「前世に後悔があるかって話でしょ。ソラールと比べてしまったのでしょ」


 ソラールはまさしく太陽のような少女だ。彼女の明るさは私たちの影を意図も容易く浮き彫りにしてしまったのだろう。



「……うん。流石クーちゃん」


「それで? アヤメはどんな後悔を抱えているの? 私が聞いてあげるわよ」


「……クーちゃんのを先に聞かせて」


「答え合わせがお望みかしら?」


「……うん」


「それは繋がりが欲しいから? 自棄になっているの?」


「……うん」


「あなたはきっと後悔するわ」


「……やっぱり……クーちゃんは」


「どちらであってもよ。私があなたの妹であろうとなかろうと、答えを出してしまえばあなたには後悔しか残らないわ」


「……なんでそんなこと言うの?」


「心配しているんじゃない」


「……なんで? どうしてクーちゃんは、わたしに優しくしてくれるの?」


「愛しているからよ。決まってるでしょ」


「姉だから?」


「そうよ。アイリスお姉様」


「……意地悪」


「自分で言ったんじゃない」


「そこは恋してるからって答えてよ。気の利いた答えなんて要らないよ。回りくどすぎだよ」


「意味が伝わったのなら何よりだわ♪」


「意地悪」


「くだらないことを気にするのはやめてしまいなさい」


「そんな言い方……」


「いえ。気にしているのは私も同じね」


「……クーちゃん……まさか」


「私ね。本当の両親の顔を知らないの。もちろんこれは前世の話よ」


「待って! クーちゃん!!」


「物心付いた頃には血の繋がらない父親と暮らしていたわ。決して悪い人じゃなかったけれど、私を愛しているとは言い難かった。当然よね。私は母の裏切りによって生まれた娘だったんだもの」


「っ! 違うよ! 父さんは!!」


「それでもあの人は私を引き取った。母と離婚した後も私を育ててくれた。決して私に憎しみを向けることもなく。どころか、私たちを捨てて去った母に対する悪意ある言葉の一つも漏らさずに。真っ当に。そんなあの人を私は疑い続けた。部屋に籠もって禄に会話もしなかった。新しい母と姉も優しくしてくれた。けれど私は……最後まで心を開くことは出来なかった」


「違う!! 違うんだよ! クーちゃん! それはクーちゃんのせいじゃ!! "カヤ"のせいじゃないんだよ!!」


「……ごめんね、お姉ちゃん」


「謝るのはわたしだ!! カヤは何も悪くない! 悪くないんだよ!!」


「言ったでしょう。後悔するって」


「後悔なんてするわけないでしょ!! カヤのバカ! どうしてわかんないの!?」


 お姉ちゃんは私を更に強く抱き締めた。



「カヤは愛されていたんだよ! それが出来なかったのはわたしだけなんだよ! 謝るべきなのはわたしなんだよ! ごめんね! カヤ! ごめんね! ごめんね!! ごめんなさい!! カヤ! カヤ! カヤぁ!!」


 お姉ちゃんはわんわんと泣き出した。私を抱きしめて、何度も何度も謝り続けていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。