01-04.不遇属性
さ~ぁ~♪ きょ~お~も~たのし~図書館だ~♪
「~♪」
「ご機嫌ですね。殿下」
「あ♪ 司書さん♪ はろはろ~♪」
「本日は何をお探しですか?」
「えっとね~♪ まじゅ……じゃなかった♪ 快適なお昼寝の開拓をね♪ やっぱり図書館って落ち着くんだよね~♪」
「あら♪ うふふ♪ どうぞごゆっくり♪」
「ありがと~♪」
よし! 誤魔化せた!
さてさて♪ 今日はどんな本を読もうかな~♪
魔術と一口に言ってもいっぱいあるもんね~♪
あれもこれも読み放題♪ パパン愛してるん♪
「~♪」
にしても良い静けさだ♪ 本当にお昼寝出来ちゃうかも♪
ユキノに怒られる前に帰らなきゃだし、あいにくそんな時間は無いけどね~♪
「お♪ これは~♪」
ふん~♪ ふん♪ ふ~ん♪
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「……なんだあいつ」
「妹君にあらせられます。レオン殿下」
「あんなのが王族なのか?」
「はい。とても勉強熱心なお方にございます」
「ふん。そんな態度には見えんがな」
「クーフェリア様は紛れもなく王家の一員であり、英雄オフィーリア様の御息女にございます」
「……父上のお気に入りか。あれが」
少年は気に入らぬと視線を逸らし、中断していた歩みを再開した。彼はここで少女を詰めに行くよりも、自らの勉学を優先することにした。
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「たっだいま~♪」
「おかえりなさいませ。クー様」
「あ♪ ユキノん♪」
「今日は一段と燥いでおいでですね。クー様」
「聞いて聞いて♪ 面白い論文を見つけてね♪」
かくかくしかじか。
「複数の属性を扱う方法についてですか」
「そうそう♪ 炎は上手く使えば風を操れるでしょ♪」
「はい。相当な技量が必要ではありますが、打ち消す程度には扱えるでしょう」
「それからそれから♪ 炎魔術で雨を降らせたり♪」
「儀式魔術の類ですね、それは。何十、何百もの魔術師を動員し、数十分から数時間程かけて雨雲を生み出すことは可能かと」
「そうなの? あんまり実用的じゃないんだね」
「はい。素直に水の魔術で直接撒いた方が効率的です」
あはは♪ 確かに♪
「ユキノは水属性だね♪ 他にも使えるの?」
「クー様。その前に一点注意点がございます。学び、研究するだけなら構いませんが、公の場で複数属性の扱い方について公言するのはお控えくださいませ」
「なんで?」
「魔力とその属性とは神より賜りし恩寵です。一人一属性が原則です。不信心者だと睨まれてしまいます」
にゃるほど。宗教的な理由ってやつか。そりゃ危ない。私なんて王族だから特にだよね。末席だけどさ。
「ただし複数の属性に影響を及ぼす使い方そのものは否定されておりません」
どういうこっちゃ。
「先ほどクー様は『炎は上手く使えば風を操れる』とおっしゃいましたね。実はこれ自体は、上位の術者であれば誰しもが身につけている技術でもあるのです。高度であることに間違いはありませんが、ある種の必須技能とも言えましょう」
??? 禁止されてるのに推奨されてるの?
「クー様は魔術師が主に何と戦うのかはご存知ですね?」
「魔獣と人間?」
「はい。その通りです。つまり相手も魔術を扱うのです。これは魔獣が相手であっても同様です。魔獣はそれぞれの属性に応じた魔術を扱います。人間のような術式として整えられたものではありませんが」
「魔獣も神様から魔力を貰うの?」
「いいえ。彼らは自らの体内に持つ魔石を用いて魔術を扱うのです」
「魔石を使えば今の私でも魔術を扱える?」
「……」
絶句しちゃった。
「……クー様。話を戻しましょう」
ありゃ。答えてくれないんだ。珍しい。初めてかも。
「極めて高い熱量を操れるのなら、副次的に発生する上昇気流によって風を打ち消すことが出来ます。それはつまり、魔獣や魔術師の攻撃をいなすと共に、魔獣の体表を覆う風の鎧を打ち消す効果も見込めるのです。そういった意味では、炎属性の適正者は風を操る魔術師とも呼べるでしょう」
「そっか。だから必要ではあるんだね。有利に戦うために」
「はい。その通りです。しかしだからと言って、炎属性の使い手が風属性の魔術師と呼ばれることはないのです」
そこは宗教的な理由と。納得。
「水と炎は相互に打ち消しあえるよね? 地は炎に強いのかな? 水とだとどうなるんだろう? 風は? 風はどの属性になら強いの?」
「ありません」
「え?」
「風属性の使い手が優位を取れる属性はありません。少なくとも一般常識としてはそう認識されています」
あらま。所謂不遇属性ってやつかしら。
風の刃と炎の玉とかだと、互いにすり抜けて相手にダメージ行きそうな気がするけど。
けど風の壁だと炎の攻撃は防げないのかな。火炎旋風になって自滅しちゃうのかも。
あと炎なら、地面を熱して炙ったり、爆発で石なんかを飛ばせば風で防げない攻撃が出来るのかな。
「ただしこれは、高位の術者同士が同等の技量で打ち合った場合の話です。風属性使いの優位性は何よりその速さです。炎が上昇気流を起こす前に風の刃を届かせれば良いのです」
お~。かっけぇ~♪
「しかし魔術の構築速度とは、長年の研鑽を積んでこそ極められるものです。なので風属性の使い手は冷遇されやすいのも事実です」
ありゃま。
けどそもそも、上昇気流を起こせない程度の炎使いはどうやって鎌鼬とか防ぐんだろう?
気になることがどんどん増えていくぜぃ♪
「私みたいに幼い頃から魔術を学ぶのは、万が一風属性になっても、皆と同じ土俵で戦えるようにするためなんだね♪」
「……いえ。多くの貴族は風属性を賜った時点で戦闘職を目指すこと自体ありません」
にゃるほど……せちがら……。
根本的に不利だと、いずれ越えられるかもしれないと思っても先に諦めちゃうんだね。そこまで育つとも言いきれないし。なら最初から他の仕事に就いちゃえと。合理的だぁ。
「ママは何属性なの?」
「地属性です」
つまり地属性が最強♪
「よし! 私風属性になる!」
「昼行灯計画ですか」
「そうそ♪ そんで最強目指す♪ もちろんこっそりと♪」
「残念……と、この場合は正しい表現なのかは疑問ですが、属性を自ら選ぶことは出来ません。繰り返しますが、神より賜りしものですから。我々に選択の権利はありません」
神様お願い! 一生のお願い! 私を風属性にしてちょ♪




