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虚空少女の風騙り  作者: こみやし
02.新入生編

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02-15.次のステップ


「おかしい。なんでこんな噂が?」



 最近の学園は一つの噂でもちきりだ。


 ズバリ! クーちゃんの属性はなんでしょう♪


 風だつってんだろーが♪



「誰も信じてなくない?」


「だいぶ今更だね。クーちゃん」


 何故だ!? 偽装は完璧だった筈なのに!?



「でもごめん。それわたしのせいだと思う」


「まさか!? アヤメお姉様も賭け事に!?」


 私の属性当てクイズは賭け事としても盛り上がっているらしいぜ! どうしてこうなった!



「え? 違くて。ほら。わたしが前座として本物の風属性を見せちゃってるじゃん。それも本来不利な筈の風属性で結構勝っちゃってるし。だから比較されちゃってるんだよ。わたしたち自身がわかりやすく見本を晒してしまったの」


「盲点!?」


「そだね~。うっかりしてたね~」


 これは由々しき問題だ。なにせ私の昼行燈性に関わってくるからね。どげんかせんといかん。



「やっぱり決闘なんてポンポン受けちゃダメだったんだよ」


「クーちゃんも喜んでたじゃん」


 そうだけどさ~。



「何事も程々が一番です」


「結果発表直前のブラインド期間かな?」


 晒さないよ!? 自分から明かしたりしないよ!? もうだいぶ今更だけども!



「大丈夫だよ。誰にも辿り着けはしないから」


 そりゃあね。空属性なんて禁書庫以外で一度も目にしたことなかったし。王城の書庫にある本を全部読み尽くした、このクーちゃん様が言うのだ。間違いない。



「そろそろ魔術戦以外で受けてみる?」


「それは無理だね。アピコンって一応公には他の種目で受けて良いことになっているけど、実際には魔術戦一択なんだ。貴族たちだけでなく、国がそう推奨してるからね。そもそも強い魔術師を育てるのが目的なんだもん。でないと国を守りきれなくなっちゃうから」


 対魔獣を見据えてるのかぁ。向上心やら競争心やらが育ちやすい学生の内に順位付けして盛り上がらせるのもそのためか。こればかりは仕方ないね。


 なんならパパが私の頼みを聞いて働きかけてくれた結果なのかもしれない。ママ一人が頼りな国防なんて、いつまでも続けられないとわかってくれてはいたのだろうし。



「いっそ最下層まで落ちてみるとか?」


 それならもう誰からも挑まれないぜ♪ クーちゃん冴えてるぅ♪



「極端過ぎだよ、クーちゃん」


 まあ現実的じゃないよね。今まで築き上げてきた立ち位置もあるわけだし。



「修行が必要だね」


「前向きだね」


 結局は私に皆を納得させる技量が無いから疑われてしまうのだ。風属性として完璧な所作を身につければ疑いもいずれ晴れるだろう。



「そろそろ魔獣相手に経験値を積んでおくのも良いかも♪」


「どうやって? 王都から外に出るだけでも大変だよ?」


「早く転移魔術を習得しよう♪」


「先に修行空間を作るのはどうかな? 時間の流れの違う特別な部屋を作るの」


「それだぁ! さっすがアヤメお姉様! いつもどっからそういう発想湧いてくるの!?」


 まるで転生者みたい♪



「あはは~♪ 毎日必死に考えてるからね~♪ (言えない……わたしが転生者であることは……まだ……)」


「ふふ♪ 愛は常識を超えるってことだね♪」


「そうだよ! だから女性同士でも問題無いんだよ!」


「え? う、うん。私もそう思うけど……」


「本当!? クーちゃんもそう思ってくれてるの!?」


「お、お姉様……?」


「大丈夫! 何も怖いことは無いよ! お姉ちゃんが優しく導いてあだっ!?」


「あ♪ ユキノ♪」


 スタコラサッサ。


 ユキノの背に隠れるクーちゃん。



「アヤメ。クー様を怯えさせるとは何事ですか」


「も、申し訳ございませんでしたぁ!!」


 平謝りだ。何か暴走しかけていた気持ちが落ち着いたのだろう。



「よしよし♪ 良い子良い子♪」


 ユキノの背後から手を伸ばして、お姉様の頭を優しく撫でた。



「クー様。どうかご油断召されぬよう」


「え? 噛まないよ?」


「噛むのです。この駄犬は」


 駄犬て……。



「ユキノ。言い過ぎ。アヤメお姉様は忠犬だよ」


「(結局犬なんだ……)」


「忠犬は主にのしかかって腰を振ったりはしませんよ」


「? そんなことされてないよ?」


「例えです」


「(クーちゃん……なんて清らかな……。ユキノ先輩……純真無垢なお姫様に向かってなんて例えを……)」


「クー様。先ほど魔獣退治に行きたいとお話になられていましたね」


「(そっから聞いてたの? 全然気が付かなかった……)」


「うん! もしかしてユキノが連れて行ってくれるの!?」


「はい。そろそろ頃合いでしょう。次の休みは三人でピクニックです」


「やっっっっっっったぁ~~~~!!!!」


 思わず飛び上がってユキノに抱きついた。



「ユキノ大好き! ユキノ愛してる! ちゅっちゅちゅ♪」


「(なっ!? なんてうらやましい!?)」


「落ち着いてください。クー様」


「ユキノ~♪ 今日は一緒に寝よ~♪」


「仕方ありませんね。アヤメには任せておけませんから」


「(くっ! 酷いです! 先輩!)」


「やった♪ お風呂もだからね♪」


「今日は甘えん坊ですね」


「だってぇ~! 普段ユキノが全然甘えさせてくれないんだも~ん!」


「今日だけですよ」


「うん♪ それでもいいよ♪ たまに甘えさせてくれるだけでもいい♪ だからずっと側に居てね♪ ユキノ♪」


「……はい。クー様」


「(……ぐすん)」

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