02-12.アピコン
「逃げた!? 殿下が逃げたぞ!!」
ポンポン決闘なんて受けて堪るもんですかぁ!!
こちとら昼行灯なんだもん! 影の英雄なんだもん!!
目立ったりなんてしないんだも~~~~ん!!!
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「観念して! クーちゃん!」
おのれぇ!! お姉様の裏切り者め~!
私はお姉様に追い詰められていた。
ここはどこぞの空き教室だ。何も考えずがむしゃらに逃げてきたから、現在地は不明だ。そもそもお姉様から逃げ切れる筈もないし。探知魔術ずっこい!
「これもクーちゃんの為だから!」
「ならちゃんと説明して!」
「わたしを信じて! お姉ちゃんを信じて!」
「説明になってないってばぁ!」
いったい何を企んでるのさ!?
「(言えない……王子殿下から指示されたなんて……けどあのシスコン殿下がクーちゃんの為にならない指示なんてする筈がない。だからきっと意味はある筈だ)」
「そこを退いて! アヤメお姉様!」
「ダメだってば! クーちゃん!」
「しつこいよ!」
「クーちゃん!?(消えた!? まさか転移!? 完成させていたの!?)」
ふっふっふ♪ 戸惑っているようだね♪ お姉様♪
名付けて! ステルスモード! 自動彩色機能付き空間壁で囲った隠蔽魔術だぜ! つまりカメレオンだぜ!
さて。今のうちにこそっと……。
「そこだぁ!!」
しまった!? バレた!?
けどどうやって!?
「片手落ちだね! クーちゃん! 匂いが漏れてるよ!」
「誰が臭いですって!?」
「良い匂いに決まってるでしょ!!」
うわっ!? なんで逆ギレ!?
「クーちゃん!!」
「は、はい!!」
「クーちゃんはとっても良い匂いなんだよ! ふにふにやわやわほわほわつやつやきらきらな非の打ち所の無い美少女なんだよ!」
え……うん。知ってる……。
「クーちゃんはただそこにいるだけで目立つんだよ! クーちゃんに相応しい昼行灯は人並みの昼行灯なんかじゃないんだよ! クーちゃんは誰もが認めるお姫様なんだから!」
……だから決闘を受けろと?
それとこれとどういう関係が……?
「クーちゃん」
「はい」
めっちゃ至近距離で目を合わせてくる。吹き出しそう。
「わたしは全力で支えるよ。クーちゃんに必要だと思うことは何でもする。だからわたしを信じて。わたしを決して疑わないで。わたしが必ず導くから。クーちゃんの望む未来に連れて行ってあげるから。出来るよね? クーちゃん?」
……アヤメお姉様。
「……本当に何でもしてくれるんだよね?」
「うん。このままキスしろと言うなら躊躇無くしてあげる」
「いや。そういうのはいいから」
「……ちっ」
あれ? 今舌打ちした? ちっさく舌打ちした?
しゃなあい……。
「わかったよぉ~……」
「え!?」
「決闘。受けるよ」
「…………そっちかぁ~」
なんで残念がってるの? 受けさせたかったんじゃなかったの?
「ごほん……アピコンが本格的に盛り上がるのは夏季休暇明けだから、それまでは適度にこなしていこうね。スケジュールはわたしが管理するからさ」
「アピコン? 『アピカル・コンクエスト』だから?」
アピール・コンテストじゃないよね?
「そうだよ。去年は皆そう呼んでたから」
たぶんそれ平民クラスだけだと思う。お貴族の……それも上位の成績を維持する私たち特別クラスの皆が聞いたら怒りそう。皆コンクエストには並々ならぬ想いがあるっぽいし。
「……まあいいや。私からは挑まなくて良いんだよね?」
「うん。その必要は無い筈。もしかしたら後々微調整は必要になるかもだけど」
狙ってる席があるの? 自分から挑まない限り上がりはしないもんね。この制度って。
「とにかくマネジメントは任せて♪ クーちゃんはただ蹴散らしてくれればそれでいいから♪」
「普通に勝っちゃって良いの?」
「もちろん偽装は忘れないでね。空属性の事がバレたら元も子もないし」
「おっけ~♪」
お姉様のお陰で偽装風魔術の完成度も十分だぜ♪ 何せ本物の風使いが参考になってくれたんだもんね♪
「それじゃあ今日の放課後から♪ 早速百人斬りだ♪」
百? まさか一日でとか言わないよね?




