07-15.家族会議
「家族会議よ!!」
私はママを連れてパパの下へと乗り込んだ。
「……久しいな。フィリア」
え? ……ああ。ママのことか。
パパって二人の時はそう呼んでいたのね。
『なんだか複雑だわ』
ややこしいわね。フィリア。
『私のせいじゃないわ』
あはは♪ そりゃそうよ♪
「陛下。どうぞオフィーリアと」
「……うむ」
なんだろう……。
私のフィリアを知っているからって、ママが気を遣ったわけでもないだろうし。
『なんかギスってるわね』
まあいいわ。二人の話はまた今度よ。
「パパ! 私は王様になんてならないわ!!」
「ならぬ」
「陛下」
「な、ならぬ」
よしよし。効いてる効いてる♪
名付けてスタ◯ド作戦♪ ママが私の背後に立って圧を掛けるだけのシンプルな作戦よ♪
「クーフェリア。どうしても王位を継がぬと言うなら」
「アルミディアの名は捨てましょう。金輪際この国の領地には足を踏み入れぬと誓いましょう」
「ならぬ!!」
自分だって同じこと言おうとしたくせに。
「何故だ!! 何故そうまでして拒むのだ!! お前はこの国に生まれた王女だ! そう務めてきたではないか!」
「ギルド運営の話なら利益と罪悪感からよ。決して王女として表舞台に出る覚悟を決めたわけではないわ」
「許されるわけがなかろう!! 王家に生まれたからではない! お前がお前であるからだ! 負うべき責任も果たさぬまま去れるわけがないとわからぬか!!」
「そっちが勝手にバラしたんじゃない!! 人々を不安にさせたのはあなたたちの判断でしょ!! 責任なんてそっちで勝手に取りなさいよ! 私を巻き込まないでよ!!」
「なっ……!?」
何を驚くことがあるのよ。どうしてこの状況すら想定せずに動き出したのよ。私の反発がそこまであり得ないことだと思っていたの?
「ひ……開き直るでないわ!!!」
恫喝したって無駄よ。動揺がバレバレよ。
「私の苦悩も努力も全部踏みにじっておいて開き直るなですって? そう。あくまで私のせいだと言い張るのね。よくわかったわ。話し合いはここまでよ。さようなら、お父様」
「待て!! クーフェリア!!」
「引き止める力も無いくせに思い上がらないで」
「クーフェリア! 頼む! 待っておくれ!!」
「頼むですって? 私の話はろくに聞けもしないのに、自分の頼みを聞けですって? よくそんな恥知らずな言葉を吐き出せたものね」
「話ならば聞く! すまなかった! もう一度だけチャンスをおくれ! どうか! どうか!!」
……パパが頭を下げる姿なんて見たくなかったわ。
「何を話そうが私の結論は変わらないわ。それでも覆せる根拠があるというなら話してみなさい。聞くだけ聞いてあげるから。言うまでもないけど、これは最後のチャンスよ。よくよく言葉を選んで話すことね」
「……」
まさか今から考えるんじゃないでしょうね。
「……クーフェリア。女神様から何も聞いておらぬのか?」
え?
「お前には果たすべき使命がある」
なによそれ。イロイは何も言ってないわよ。
「おかしいとは思わぬか? フィリアが……お前を誰より愛するオフィーリアが、何故お前だけを残し、去ったのか」
それ……は……。
「ママ。何を知ってるの?」
イロイ。あなたでもいいわ。聞いているなら答えなさい。
『「……」』
なんでよ。なんでこの期に及んで口を噤むのよ。
「余は使命故のものと考えておった。魔獣たちを滅ぼしたのはその一片に過ぎぬものと考えておった」
「何よ、その使命って。私がそれを投げ出すと思ったの? 責任責任って、そういう意味なの?」
「うむ……いや……」
「悪いけど知らないわ。見ての通りママは話す気がないみたいだし。女神も同じよ。相変わらず黙りだわ」
「……うむ」
「その使命とこの国に何の関係があるのよ」
「……それは」
なによ。パパまで口にできないっての?
「何にせよ、パパの勘違いね。ママも女神も止めるつもりはないみたいよ」
「ならぬ!」
「またそれ?」
「ならぬのだ!! 頼むクーフェリア! この国を選んでおくれ! どうか我らを選んでおくれ!!」
選ぶ? 私が?
私が選んだ国以外が滅びるとでも?
だとしたらなんて身勝手な。真実を明かして未曾有の危機に備えるでもなく、自分たちだけを救ってくれだなんて。
『そういうわけではないんだよ~』
イロイ。話す気があるなら全部話しなさい。
『……』
まったく。どいつもこいつも。




