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虚空少女の風騙り ~ 英雄王女の異世界昼行灯 ~  作者: こみやし
07.暗躍魔王

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120/125

07-14.長男の実力


 お兄ちゃんが裏切った。



 裏切って全部バラしてしまった。


 私が世界に隠してきた事を。人知れず成してきた事を。


 お兄ちゃんだから信じて伝えていたのに。


 それなのに。




----------------------




 私は一番目の兄様に連れられて、城の王族専用談話室へと移動した。


 本当は帰りたい。今すぐ布団に潜ってふて寝したい。


 ママの胸にしがみついて泣き出したい。お姉ちゃんに頭を撫でて慰めてもらいたい。



「クーフェリア。すまないが一つ確認させてもらいたい。レオンの口にした内容は全て真実に相違ないか?」


「……はい。真実です」


 まだ話していないこともあるけど。概ねは。



「そうか……」


 アルベール兄様は考え込み始めた。



「……今宵は御暇させていただきたく」


「ならぬ。手遅れになるぞ」


 ……今更何が。



「すぐにでも答えを出し、陛下に奏上すべきだ」


「聞いていただけるのでしょうか」


「無論。玉座は牢獄ではないのだ。鎖に繋いで座らせておくわけにもいくまい」


 私が席を立つ分にはいくらでも出来る筈だと。



「そのようなこと」


「許される。許されない。そのような話ではなかろう。クーフェリアであればどこへ行こうと受け入れられる。だからこそレオンは必死なのだ。形振り構わずお前を引き留めようとしておるのだ。時間を許せば増々逃げ出す隙は無くなるぞ」


 私には転移だって……。



「神獣に乗ればいつでも逃げられると考えておるのか? そうではない。間違っておるぞ。鎖はお前自身が繋ぐのだ。レオンはただそうせざるを得ぬよう誘導するのだ」


 ……そう……ですね。



「意志を持て。抗う意志だ。お前が否と言い張ればそこまでだ。レオンはお前の心を折るために揺さぶりをかけておるのだ。レオンの策に飲まれるな。それがお前の戦いだ」


 ……。



「……アルベール兄様は何故」


「我は諦めておらんからだ。次の王はこの俺だ」


 兄様はニヤリと笑みを浮かべた。


 そして手を差し伸べてきた。


 自分が玉座に着くためには私が邪魔なのだと、だからこそ互いに手を取り合って戦おうと、これはそういう握手なのだと伝わってきた。



「……兄様もわたくしを利用するのですか」


「無論だ。クーフェリアも俺を利用するがいい。存分に」


「……感謝します」


「要らん。我々は対等だ。利害の一致に過ぎぬ共闘だ」


「……はい。兄様」




----------------------




「陛下! いえ! お父様!!」


 私はメイドを一人連れて、父の部屋に直接乗り込んだ。



「家族会議よ!!」




----------------------




「兄上。お一人ですか」


「うむ。振られたな。レオン」


「……」


「なに。そう睨むな」


 アルベールはレオンの執務室にあるソファに腰掛けた。


 レオンも渋々対面へ移動した。



「お前は不器用な男だな」


「兄上は器用ですね。まさかここまでしぶとく抗われるとは思いませんでした」


「はっはっはっは♪ これは舐められたものだ♪」


「とっくに手足はもいだつもりでした」


「お前はまだまだ青いな。才があるだけに惜しい。せめてもう少し時間があればな」


「負けを認めぬのですか?」


「負けたのはお前だ、レオン。自ら切り札を手放したのだ。ここからお前に勝ちの目は無い」


「クーフェリアは」


「陛下の下だ。向こうも切り札を連れて乗り込んだぞ」


「……オフィーリア様ですか」


「そうなのか? あれはただの小娘に見えたが。ふむ」


「あまり驚かれぬのですね」


「いや。驚いているとも。お前があっさりとその名を口にしたことにな」


「……」


「やはり青いな。愛の一つも知らぬ身ではそれも致し方あるまいか」


「……挑発には乗りませんよ」


「諦めろ。クーフェリアはお前の手に収まる女ではない」


「余計なお世話です」


「ふむ。良い目をするじゃないか」


「諦めていないのは私も同じです」


「わかっていよう。我は時間を稼ぐために来た。行かせはせんぞ」


「必要ありません。陛下は決して撤回など致しません。オフィーリア様の介入は最初から読んでいたことです」


「だから青いと言うのだ。お前は」


「……」


「自身が何に振り回されているのか気付いているだろうに」


「だからこそ……」


「よいぞ。流石の俺も恋愛相談とやらは初めてだが、可愛い弟の悩みだ♪ 聞いてやろうではないか♪」


「……」


「まあそう睨むな。話してみよ」

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