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虚空少女の風騙り ~ 英雄王女の異世界昼行灯 ~  作者: こみやし
07.暗躍魔王

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07-08.想定外の再会


「「あははは♪ あははははははは♪」」



「なりません! リーリア様!!」


 何事かしら?


 珍しくユキノが焦ってる。


 あと男性の笑い声が聞こえる。ママが酔っ払って誰か連れ込んだのだろうか。あのマミー、やりたい放題ね。



「リーリア。いったいなにご……と……」


 ……は?



 私は白黒結界を起動した。




----------------------




「さくせんか~いぎ!!」


「気持ちを落ち着けたいんだね。クーちゃん」


 そうよ、お姉ちゃん。わかってるなら慰めて。グスン。



「お~よちよち。大丈夫だよ、クーちゃん」


 ナデナデ気持ち良い……。



「やってる場合ではないのですわ。お気持ちは察しますわ」


「処しまする! 処しまする!」


 クラちゃんはそのままモミジをしっかり押さえておいて。



「へぇ~♪ この人がね~♪」


 ケラケラと笑い転げる酔っ払い。


 誰よ。リーリアを大人フォームにしたの。あまつさえそのまま飲み屋に繰り出すなんて。しかもお持ち帰りて。このマミー、いっぺんシメないとダメよね。


『シメられる人がいないじゃない』


 そうなのよ。ママったら強すぎるのよ。困ったものだわ。



「さっさと本題を進めない?」


「わかってるわ。お姉ちゃん」


 さて……どうしたものかしら。このボロ侍。


 ママったらなんて奴連れ帰って来てるのよ……。




----------------------




「先にママのお説教よ」


 ダメ元だ。ダメ元だけどやらねばならない。


 私はママの身体だけをそのままに、身につけたものの時間を停止した。



「あらま」


「これで逃げられないでしょ。いくらママでも」


「ふふふ♪ そうね♪ あ♪ これ楽ちんよ♪」


 相当奇妙な感覚だろうに。ママは平気な顔で、時間ごと止まって空中に縫い付けられた服に体重を預け始めた。



「自分が人妻だって自覚がないの?」


「今はただのリーリアだもの♪」


「だからって娘の屋敷に男を連れ込むのは許されるの?」


「そんなつもりはないわ♪ 酒場を追い出されたから飲み直そうとしただけよ♪」


 追い出されたって……なぁ~にやったのよぉ~……。



「……質問の答えになってないわ」


「ごめんなさい。二度としません」


「男と飲むのも禁止よ」


「あはは♪ 私はもう男だ女だって歳でもないわよ♪」


 オバちゃんメンタルの方だったかぁ。


 どうりでデリカシーが……ごほん。



「(ジロリ)」


「あはは~……ごめんなさい……」


 まったく。



「ママはクーちゃん一筋よ♪」


 さては反省してないわね……。



「そう。もうパパはいいのね」


「あの人とは……クーちゃんが思っているような関係ではないわ」


 ……わかってるわよ。私だってそれくらい。王族と子を成すことの意味くらい。


 わかってるけど口にしてほしくはなかったわ……。



「ごめんね、クーちゃん。もうしないわ。男の人とは飲まないし、誰かを連れ帰ったりもしないから」


「酒場に行くのもダメよ。お酒ならいくらでも買ってあげるし、ユキノやイロイだって一緒に飲めるでしょ。それでも物足りなければノーラたちだっているじゃない。魔王城に専用の酒場を作ってあげる。だからお願い。もう行かないで」


「わかった。約束するわ」


 ……ごめんね。勝手な事を言ってるのは私なのよね。


 ママは折角自由の身になれたのに。貴族も王妃も英雄も関係ない、新しい人生を歩み始めたのに。



「気にしないで♪ クーちゃん♪ ママはクーちゃんのママよ♪ 言ったでしょ♪ クーちゃんがなにより大切なの♪」


「ママ……」


「あ~……ごほん。クーちゃん。母さんのやったことは普通に許されないことだからね? 流されちゃダメだよ? もっと厳しく言って良いんだよ? 危機感持っていこうよ。明日にでも噂になるかもしれないよ。下手をすればクーちゃんとレオン殿下の婚約にも飛び火するかもしれないよ。そうやってこじつけて火を放つ政敵だっているでしょ。クーちゃんの疑いを晴らすためにリーリアの身元調査が始まるかもしれないよ。そうなったら本当はオフィーリア様だってバレるかもしれないよ。それくらい迂闊なことしてるんだからね。母さんもちゃんと自覚して反省しなさい」


 ご尤も……。



「はい……ごめんなさい……」


 さしものママも、アヤメの正論にはグウの音も出ないようだ。


 私が言ってもヘラヘラしてたのに、お姉ちゃんが言うとしっかり反省するのね。腹たってきたわ。



「ユキノ。ママのお仕置きは任せるわ。徹底的にお願い」


「はい。クー様。お任せください」


「あらま♪」


 笑っていられるのも今のうちよ。ユキノが任せろと言ったのよ。ママが相手だからって決して手を抜いたりしないわ。

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