07-05.因縁
「気取られておるではないか!!!」
「いや~♪ あっはっは♪ 悪ぃ悪ぃ♪」
「なんだと貴様!? 拾われた恩を忘れたか!!」
「いや違えのよ、旦那ぁ~。あの姫さんがいるたぁ思わなくてよぉ」
「なんだと!?」
「旦那も人が悪ぃぜ。先に言っておいてもらえりゃあ相応に準備して行ったってのによぉ」
「王太子候補の暗殺に全力を尽くさぬ馬鹿者がおるかぁ!」
「簡単な仕事だと思ったんだけどなぁ。あの姫さんが相手じゃなぁ」
「貴様は先程から何の話をしておるのだぁ!! クーフェリア王女は関係あるまい!!」
「んだ? 旦那も知らねえのか?」
「話せ! 貴様は何を見た!?」
「レオンとかいう王子を守ってんだよ。四六時中。なんていったか。あの魔力壁? とかってやつでな」
「ばかな!? 他者に施す魔力障壁だと!?」
「そうそう。それそれ。魔力しょーへき。実際にはちぃっとばかし違うが似たようなもんだな。ありゃぁ」
「そんな巫山戯た話があるものか!!」
「そうは言ってもなぁ」
「おのれ英雄王女!! またしても我が邪魔をするか!!」
「あ、そっち。てっきり疑われてるもんかと」
「貴様にはあるのだな!! 障壁を破る手段が!!」
「へい旦那。準備を済ませりゃお茶の子さいさいでさぁ」
「行け! 支援は惜しまぬ! 今度こそ仕留めてみせよ! 英雄王女ごとだ!!!」
「まぁ~た骨の折れる仕事を……しゃあねえ。一宿一飯どころじゃねえ恩義だ。やれるだけはやってやるさ」
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「いないわね。ギルド関連ではなさそうよ」
「やっぱり第一王子派閥なんじゃない?」
「そっちはお兄ちゃんが調査しているわ」
お兄ちゃんにも実行犯の情報も共有済みだ。何かあれば見つけ出してくれるだろう。
「あの男なら一人でも潜り込めるわ。手引きした線を辿るのも難しいわね」
「王都への入場記録は? ここ半年の間に出入りした高位貴族の名前を洗ってみたら?」
「ヒマリがやってくれたわ。けど見つからなかった。手引きしたとしても、高位貴族でないことは確かね」
「そこまで断言出来るの?」
「ええ。門番にはヒマリの手の者が紛れているもの」
「それ普通に犯罪なんじゃ……」
「別に悪用はしてないわ。ズルもしていない。真っ当に採用されただけよ。ヒマリ曰くね」
「本当にぃ? また誰かに成り代わってなぁぃ?」
「そんな話をしている場合じゃないでしょ」
「けどそれでわかったことって、あくまでボロ侍が高位貴族の手引きで王都に入ったわけじゃないって事だけでしょ?」
「そうよ。王都に入ってから拾われたのだとすれば、関与も否定は出来ないわ」
「そんな事あるかなぁ。聞いてる感じ、王都に寄り付くタイプにも思えないんだけど」
「そうね。オーガたちと暮らすような奴だもの」
確かに不自然ね。
「もっと前からなのかしら。潜伏していたのは」
「前って。そんなことあり得るの? 東方の離島はそんなに近い場所じゃないよ? まっすぐ目指して来たならともかく、成り行きで辿り着くには相当な時間が掛かるでしょ?」
そうね。そう思ったから半年以内に絞り込んだのよ。
けどそうではないのだとしたら。一年と少し前に私たちと離児島で出会ってから、すぐにこちらへやってきたのだとしたら。
「あの日の離児島は結構な波が立ってたよ。泳いでる内に遭難しちゃったのかもね。それで離島じゃなくて大陸に流れ着いたのかも」
「行くわよ」
「どこへ?」
質問には答えず白黒結界を起動した。
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時間停止結界と転移の合わせ技で門番の詰め所に潜り込んだ。
「ダメだよ、クーちゃん。ここにはないよ」
「そうみたいね」
一年前の記録は詰め所に置かれていなかった。城へ移したのだろう。今度はそちらをあたってみよう。
私はアヤメと共に城の資料保管庫へと潜り込んだ。
「うわぁ。これ全部?」
「まさか」
いくつもの棚を通り過ぎ、お目当ての資料が置かれた場所へと向かった。
「なんでそんなに慣れてるの? さては一度や二度じゃないね。潜り込んだの」
「必要なことだったのよ。……これね」
ふむふむ。
「何か分かった?」
「……」
……一年前……東……海……これ……って。
「クーちゃん?」
「……見つけたわ」
「やったね♪ 誰だったの?」
「……」
「クーちゃん?」




