06-12.新居と変わらぬ日常
私たちはすぐさま引っ越しを開始した。
冬休みもあと数日残っている。新学期が始まる前に終わらせておきたい。
幸いお兄ちゃんが人手も用意してくれていた。新居には既に必要十分なメイドたちが配属されていたのだ。
お陰様で転移門や収納魔術を使うまでもなかった。
お祖父様への連絡も済ませ、無事新学期前に間に合わせることができた。
「皆おつかれ様。休暇を途中で切り上げさせてしまって悪かったわね」
「「「クーちゃんが!? 謝った!?」」」
「なによ!? 悪いの!?」
「あのワーカーホリックが……」
「あの労働中毒が……」
「あの仕事の虫が……」
「うるっさいわね!! あんたら次の休暇無しよ! 覚えておきなさい!!」
「「「ごめんなさぁ~い!!」」」
まったく!!
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「ママ~!」
「はいはい♪ いらっしゃいクーちゃん♪」
ごろにゃぁ~ん♪
「明日から学園ね~♪ 寂しくなるわ~♪」
口調と内容が合ってない。出歩く気満々だ。このマザー。
「程々にしてよね。ママの正体がバレたら面倒よ」
「は~い♪」
まあ大丈夫でしょ。ママだし。
見た目だって以前とは別物なんだもの。
「ちょっと物足りないわね。フィリア。変身させて」
『がってん』
ママの姿が変化した。以前の大人としての姿だ。実はそれよりちょっと若い。私が生まれた頃に近い。
「ふかふか~♪」
「ふふふ♪ クーちゃんも好きね~♪」
私もそれなりにはあるけれど、ママはそれ以上よね。
「『も』って言わないで。嫌な想像しちゃうじゃない」
「あら。そういうことではないのよ♪」
え? ちょっ!? どこ触って!?
「うふふ♪ 将来が楽しみね♪」
「えぇ!? ママってそういう!?」
しかも私は娘ぞ!?
「そういうってどういうのかしら? ママはただ娘の成長具合を確かめてみただけよ♪ クーちゃんだって遠慮なく触ってきたじゃない」
「娘が母にするのとは違うじゃない!」
「クーちゃんって結構自分本位よね。ママそういうの良くないと思うわ」
「この世界でママとイロイにだけは言われたくないわ!」
「あはは♪ これは一本取られたわね♪」
こんにゃろー! ノラリクラリと!
「でも真面目な話よ。あんまり甘えすぎるとアヤちゃんに逃げられてしまうわよ」
「無いわ! 絶対あり得ない! お姉ちゃんは前世から! それも別の世界から追いかけてきてくれたくらいだもの!」
「あら♪ ママよりアヤちゃんを信じるのね♪」
「なんで嬉しそうなのよ……」
「もちろん嬉しいわよ♪ 娘が愛する人を誰より信じているんですもの♪ そんな素敵な人に出会えてママも幸せよ♪」
……なんだか誤解を招きそうな言い回しだ。
『リーリアってそういう所あるわよね』
天性の人タラシなのかもしれないわね。気をつけましょ。
『イロイにでも見張らせておきましょう』
頼りになるかしら?
『居ないよりマシでしょ』
『聞こえてるよ! 二人とも!!』
なら任せたわ。
『しっかり見張っておきなさい』
『フィリアまで!? もう! ちゃんとリーリアの指摘を受け入れなよ! 二人とも神をも恐れぬ傲慢っぷりなんだから!!』
だって神がこれだもの。
『ねぇ』
『ねぇじゃないよ!? そういうことばっか言ってると家出しちゃうからね!?』
悪かったわ。ママをお願いね。イロイだけが頼りよ。
『大丈夫よ。困ったらフィリアスでもねじ込めば』
嫌よ。ママに余計な虫は付けないわ。
『虫扱いは酷いわ』
そのまんまの意味じゃないわ。
『え? なに? クーちゃん、オフィーリアもハーレムに加えるつもりだったの? だからリーリアに作り変えたの?』
そんなわけないでしょ。ママはママよ。私は娘として甘えるだけよ。
『そんなこと言いながらさっき乳繰り合ってたじゃん』
ママが勝手に揉んできただけよ。私は反論したわ。
『その前にクーちゃんが揉んでたじゃん』
『鷲掴みにしてたわね。遠慮なく』
娘がママの胸に抱きついて何が悪いってのよ。
『そのダブルスタンダードっぷりを突っ込まれたんじゃん』
娘と妹は最強なのよ。
『調子に乗ってるねぇ~』
『絶好調ね♪』
「クーちゃ~ん♪ 内緒話ばっかりじゃなくて~♪ ママともお話しましょ~♪」
「そう言いながらなんで揉んでくるのよ!?」
「これも立派なコミュニケーションよ♪」
「まさか誰にでもそんなことしてるの!?」
「そんなわけないじゃない♪ クーちゃんだ・け・よ♪」
「きゃ~~!? 襲われる~~~!!」
「どうしたのクーちゃん!?」
お姉ちゃん!? えらく早かったわね!?
さては覗いてたわね!?




