表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
見なくても、次はあなたです――捨てた動画が紙になって届くまで  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/84

記事になる前

ウェブ記者の榊原凛は、佳奈の死を都市伝説の記事にしようとしていた。

 匿名掲示板に「死者の動画が次へ届く」という書き込みが三件あり、その一つに佳奈のマンション名が伏字で載っていたからだ。

 久瀬は捜査情報を答えなかった。澪も取材を断った。

 だが凛は、記事公開前の画面を見せた。そこには佳奈より前に死んだ二人の女性が並んでいた。千葉の会社員と、埼玉の専門学校生。死因も場所も違う。共通するのは、死亡前に差出人不明の映像を周囲へ相談していたことだけだった。

「これを公開すれば、他の受取人が名乗り出るかもしれない」

「同じ数だけ、作り話も届きます」

 澪は答えた。

 凛は不満そうに画面を閉じた。その直後、未公開の記事に新しい画像が挿入された。

 誰も操作していない。

 画像は佳奈の部屋だった。動画の六分十一秒、佳奈が振り返る直前の一枚。その隅に、記事を書いている凛の横顔が小さく重なっている。

 凛の顔色が変わった。

「私も次ってこと?」

 澪は即答しなかった。

 映った者が次だと、まだ証明されていない。

 希望を装った推測で安心させることも、恐怖を装った推測で縛ることも、同じくらい危険だった。

 部屋の外では、誰かの日常が何事もなく続いていた。エレベーターが止まり、配達員が階段を上り、遠くで車の扉が閉まる。そのどの音にも異常はない。異常なのは、死者の時間だけが現在へ届き続けていることだった。

 澪は見えた事実と、自分がそう思っただけのことをノートの左右へ分けた。恐怖に理由を与えれば、一晩だけは眠れるかもしれない。だが誤った理由は、次に選ばれた人をもっと危険な場所へ連れていく。だから分からないものは、分からないまま残した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ