番外編 後日談
後日談です(^^)
春の陽気が王都を包んでいた。
フェルノア公爵家の庭園では、色とりどりの花が咲き誇っている。
その小道を、セレスティアはゆっくりと歩いていた。
ほんの少し前まで、数歩歩くだけで息が上がっていた身体だ。
こうして庭園を散策できることが嬉しかった。
「今日は暖かいですね」
隣を歩くアルフレッドへ微笑みかける。
「ああ」
短い返事。
だが、その視線はセレスティアの顔ではなく足元へ向いていた。
「セレス」
「はい?」
「そこに小さな段差がある」
言われて見れば、確かにあった。
だが、ほんの数センチである。
「大丈夫です」
「念のためだ」
当然のように手を差し出される。
セレスティアは苦笑しながらその手を取った。
段差を越える。
それだけ。
「……殿下」
「なんだ」
「今のは必要でしたか?」
「必要だ」
即答だった。
セレスティアが呆れていると、アルフレッドは真顔のまま続ける。
「転ぶ可能性があった」
「ありません」
「絶対か?」
「絶対です」
「人は油断した時に転ぶ」
「私は幼児ではありません」
「知っている」
知っていてこれなのか。
セレスティアが遠い目をした時だった。
ふわり。
風が吹いた。
「少し風が強いな」
「そうでしょうか?」
「上着を着ろ」
「春ですよ?」
「春でも風邪はひく」
「ひきません」
「ひくかもしれない」
「ひきません」
「可能性はある」
「ありません」
しばらく見つめ合う。
先に目を逸らしたのはアルフレッドだった。
「……分かった」
「分かっていただけましたか」
「ああ」
珍しく引き下がった。
そう思った次の瞬間。
「では、近くにいる」
「はい?」
「俺が風除けになる」
「ならないでください!」
即答した。
しかしアルフレッドは真剣だった。
むしろ本気だった。
そのまま半歩前へ出る。
本当に風除けを始めた。
「殿下」
「なんだ」
「やめてください」
「なぜだ」
「恥ずかしいです」
「問題ない」
「問題あります」
「ない」
「あります」
そんなやり取りをしていると。
「くくっ」
笑い声が聞こえた。
振り向けば、公爵夫人がいた。
隣には公爵もいる。
どうやら途中から見ていたらしい。
セレスティアの顔が一気に赤くなった。
「お、お母様……」
「仲がよろしいこと」
「違います!」
「違わない」
アルフレッドが即座に否定した。
セレスティアは思わず彼を見た。
するとアルフレッドは少しだけ眉をひそめる。
「むしろ足りない」
「何がですか!?」
「もっと大事にしたい」
庭園が静まり返った。
公爵夫人は口元を押さえている。
公爵は天を仰いでいた。
セレスティアだけが真っ赤になって固まる。
アルフレッドは首を傾げた。
「何かおかしいことを言ったか?」
「全部です!」
その叫び声に、庭園中の鳥たちが一斉に飛び立ったのだった。
イチャイチャが書きたかったのに、ただの過保護になってしまいました(^◇^;)
次こそはっ!
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