↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/13

潜伏

 20XX年7月26日15時、愛知県警察豊橋警察署。数十分前に人員輸送車と共にやってきた工作員の一団は、嗅ぎ付けてきた新聞記者を避けるように裏へ入り、機動隊の警護のもと署内へ入った。怪我の手当ての後、彼らは別々に留置所に入れられた。


「つまり、君らはあの船に乗ってきた工作員ってことだね?」


4階の留置管理設備のそばにある取調室では、急行した県警本部国際テロ対策室の刑事が朴に話しかけていた。


「はい、その通りです。」


あっさりと認める朴を少し不審に思いながらも、取り調べを続ける刑事。作戦の目的を問うと、全体では日本国内の混乱、自分たちは機密情報の奪取と答えた。


「数時間前、名古屋市内の地下鉄で輸送障害があった。これも君たちの言う金の率いるやつらかな?」


「金はもうそんなに移動していたんですね。」


他にも部隊の全容などを取り調べていく。しかし、部隊の全体の人員数や組織についてはわからない、知らないの一点張りだった。これは他の工作員たちも同様だった。一度取り調べを終え食事を与えると、むさぼるようにがっついた。


「明日本部へ移送しよう。」


 同日23時59分、豊橋市山中。静岡県湖西市へ抜ける峠道。静岡県磐田市の見附宿で東海道を離れ、浜名湖北岸を周り豊川市御油宿へ向かう街道である姫街道の、山を越える区間。そこへ向け進むワンボックスカーが1台。


「ウェーイ!今日は愛知県最強心霊スポット、本坂峠に来ちゃいましたー!」


市内の某大学の学生5人は、浅間神社富士社の手前で車を停め騒ぎ始めた。


「まずはここ!富士浅間神社です!」


携帯でカメラを回しながら車を降りる。男2、女3。騒ぎ声は山中に響いていた。もちろん潜伏する金たちにも。


「5人、か。手頃だな。」


こだまする騒ぎ声の裏側で、工作員らが配置を決め進路に回り込む。物陰に潜み、彼らがやって来るのを待った。


「この階段の1段目と3段目を踏むと、呪われて帰り道で事故に遭うらしいぜ!」


「ヤダ怖いー!」


前に2人、真ん中に2人、後ろに1人に分かれたグループは階段を上る。中腹にある鳥居を抜け、少しだけ参道が平らになる。


「あれ?コウ君は?」


真ん中を歩いていたはずだった女が、最後尾の男が消えたことに気付く。


「え?さっきまでいたよね?」


「冗談いいって、出て来いよコウタ!」


その時、最前列にいた男の隣からまた1人女が忽然と消えた。


「…リサ?」


青ざめる男。うずくまる女と立ち尽くす女。男が突然叫び声を上げながら階段を駆け下りていった。参道の脇、斜面に生える木の幹の向こうに人影を見たのだ。そのまま駆け下り車に飛び乗ろうとした男の足を引き倒す工作員。残された女2人も同じような経過を辿った。


「若いな、女もいる。」


1人がそう呟いたが、手を出したりなどしない。我々は蛮族ではなく国家主席と共にある正規兵である。


「男の身ぐるみを剥がせ。カバンも拝借する。車に乗れ。」


12人の男たちは無理やりにワンボックスに乗り込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。