終章-11 : 地下室の終焉
「どうなって……ん?」
ピストルを持つ手の僅かな違和感に、脂汗を額に滲ませたベネディクトはピストルに目を向けた。
ピストルに黄緑色の紐がついていた。
(いつの間にゴミが……)
ゴミだと思っていた紐がピストルからもう一本ゆっくりと伸びて、ピストルに絡まった。
「な、な、な……」
ベネディクトは瞬きの一つもせず、その光景から目が離せなかった。
紐はさらに二本、三本と生え、ピストルに絡まる。
「さっきのあの子だ……」
部屋を横切る何かを目で追っているようなルミナの呟きに、ジークもルミナと同じ方向に目を向けた。
そこには異様な光景にどよめいているゼニウスの兵士しかジークの目には映らなかった。
「……捕まっていた精霊か?」
「うん、外から種を拾ってきて、蔦を生やしたみたい」
部屋の外まで目で追っていたルミナはジークに目を向けた。
ルミナは微笑んでいたが、彼女の見えるモノが自分に見えないのはなんだか淋しい気がした。
「そうか」
それでもジークはルミナに微笑んで見せた。
「ひぃ!」
どんどん絡まる蔦に、ベネディクトはピストルを投げ捨てた。
この好機を見逃すことなく、ユーリがベネディクトの腕をねじり上げた。
「くっ……」
「動かないでくれませんか? 下手に力を入れられると、腕を折ってしまいそうなので」
ニコーっと、ユーリが笑顔でそう言うと、ベネディクトは身動きを止めた。
やっとおとなしくなったベネディクトを引き連れ、ゼニウスの兵士と共に部屋を出たジークは、地上へと続く階段を見上げた。
もう外はすっかり日が昇り、階段を煌々と照らしていた。




