終章-10 : 崩壊する野心、最後の引き金
「本当は、ルミナ姫さえ、ゼニウスにいて下されれば何も言うことなどないのです」
「最近、資源物資の輸出金額を上げてきているビリギア国を牽制する為にか?」
ベネディクトの眉がピクと上がる。
「ゼニウスでは発電の為に、石炭などの資源物資を使用しているらしいな。だが、それらはゼニウスでは採れない。小国のビリギアではそれらが豊富に採れる。小国でありながら、最近では大きな顔をして、色んな国と揉めているらしいな」
ベネディクトはジークを意外そうな顔で見つめた。
「俺の部下は優秀らしい」
ベネディクトは金髪でありながらも、ルミナを閉じ込めた部屋から出てきた男に目を向けた。
「あ、私だと分かります? 照れますねぇ」
ユーリは糸目を更に細め、頭を掻いた。
ベネディクトはふっと顔を緩めると、笑い出した。
「はーはっはっはっは! もう私が世界を牛耳る日などこない。だが、せめて精霊王の力を目の当たりに!」
ジークが身を捩った。
「ジーク!」
ルミナはシオンを押しどけ、トリガーを引くベネディクトに向かって走り出した。
それより早く動いたのはユーリであったが、そのユーリがジークにたどり着く前に、銃弾はジークの耳元で進むのを止め、旋回している。
ゆっくりと旋回していた銃弾は、遂にコロリと床に転がった。
ジークは無言でそれを見つめた。
ルミナ以外、何が起こったのか理解出来なかった。
「ウィン、ありがとう!」
ルミナが空に抱きついた。
(”ウィン”……)
それは昨日、ルミナが沖合からゼニウスに連れてきた精霊の名前だった。




