終章-8 : 崩さなければ良いだろう
「そんなバカな……」
「信じられませんか? 信じられないとしたら……私は一体、いつから隣の部屋にいたんでしょうね?」
ニッコリとユーリはベネディクトに笑みを向ける。
ベネディクトは困惑の色を浮かべていた。
(ユーリさんて、ものすごく真面目な顔して嘘つくから、嘘か本当かちょっと分かんなくなっちゃうんだよね……)
髪色を変えれる魔法があるのかと一瞬信じてしまったのを思い出す。
ベネディクトがユーリに気を取られている隙にルミナは穴からそ~っと姿勢を低くして這い出すと、ジークの元に駆け寄った。
さすがにルミナの姿に気が付いたベネディクトは、舌打ちを打ちたい気分であった。
「ジーク!」
「ルミナっ」
飛びつくルミナを腕に抱きしめ、ジークは刃をベネディクトに向けた。
「観念したらどうだ」
「ルミナ姫は光と闇を宿した稀有な存在なのです」
「そのようだな」
「もし、バランスが崩れてしまったら……」
「崩さなければ良いだろう」
ジークはハッキリと言い切った。
「ルミナは慈悲深い性格で、深く怒ることは珍しい。彼女を怒らせたり、悲しませたりしなければ問題あるまい」
ルミナは顔を上げた。
自分を抱きしめているジークはまっすぐにベネディクトを見つめていた。
ルミナはジークの胸に顔を埋めた。




