6-29 : 温度差の激しいふたり
◇
「……ん~」
懐かしい温かみに、ルミナはそれを抱きしめて鼻をこすり付ける。
「こそがしいから、それはやめろ」
「!」
すぐそばから聞こえる声に、目を開くとジークの黒い瞳とぶつかった。
いつの間にか眠ってしまったルミナは、ジークと久しぶりに同じベッドで横になっていた。
よって今、彼女が抱きしめているのはジークである。
「ご、ごめんな――」
目を泳がせながら離れていこうとするルミナを、ジークは腕を伸ばして阻止する。
「こそがしいのは困るが、このままで良い」
機嫌の良いジークの声にルミナは頬を染めつつも、口を尖らせた。
「ダ、ダメだよ。シオンさんになんて言うの?」
「シオンにはもう、ルミナが眠ってしまったので、このまま俺もここで寝ると言ってある」
「そう。……えっ?!」
ルミナはジークの腕を乱暴にどかし、慌てて上体を起こした。
ジークはつまらなそうに片肘を付いて、そんなルミナを見上げた。
「なんでそんな普通なの?!」
「なにをそんなに慌てているんだ?」
ジークとの温度差にルミナは頭を抱えた。
「羞恥心とかないのかな……」
「声に出てるぞ」
「……」
気まずそうにルミナがそうっとジークを見ると、相変わらず彼は上機嫌な顔であった。
(ジーク、なんだか嬉しそう)
口角がほんのり上がっているジークを見ると、ルミナも嬉しい気持ちになり、自然と顔が綻んだ。
「ルミナ、気になっていたのだが、ゼニウスには精霊はいないのか?」
「うん? 見たことないわ」
ルミナは小首を傾げた。
「そうか。ゼニウスからアルカディアまでそう遠くはない。ゼニウスが誇る観光地、”白い砂浜”に行けば精霊に会えそうか?」
「どうかしら……少し沖に出れば会えると思うけれど……」
「ならば出るか。君に頼みたいことがある」
ジークは起き上がり、ルミナを見つめた。




