6-26 : キスの余韻の中で
「え?」
「彼の言う通り、ルミナは光と闇の両方をその身に持っている。しかも、闇の加護……つまりは、精霊王の加護は普通ではない」
ジークはルミナを抱いている腕の力を緩めた。
「君がアルカディアを離れても、魔法が使役できるのは、彼の加護があるからだと思う。そして、その力は強力であり、脅威であるからこそ、ベネディクトは君を手に入れたかったに違いない」
「……もしかして、あの時、近くにいた?」
ルミナはゆっくりと瞬きし、ジークを見上げた。
「ドアの向こうにいた。ルミナに何かあってはいけないからな」
真顔だったのを緩めて、ルミナの頬に触れる。
ジークの予想できない行動にルミナは再度、鼓動が早くなる。
「私もいましたけどね~」
「!」
急に降ってきた声に、ルミナはぎょっとし目線を上げた。
ルミナが姿を捉えるより早く、天井に張り付いていたユーリが綺麗に床に着地すると、ジークに向かって片膝をつく。
「……空気を読めないのか」
「いえ、むしろ、私の活躍をルミナ様にアピールするベストタイミングだと思いまして」
ニコニコと笑顔でそう答えると、ユーリは立ち上がり、服を手で払う。
「ユーリさん……?」
見慣れた黒髪ではないユーリに、ルミナが目を丸くする。
「あれ? ルミナ様は私が髪色を変えられる魔法使いだと知りませんでしたか?」
ユーリに不思議そうに首を傾げられ、ルミナがジークを見ると、ジークは首を振った。
「本気にするな」
「今のは冗談です。ですが、教会への潜入はこのユーリのお陰かと」
ニコリとユーリに笑みを向けられ、ルミナは「そうなの?」とユーリに釣られ、笑顔をジークに向けた。
「否定はしないが……」
だからと言って、今出てくることもないだろうと、ジークは少し眉を寄せてユーリを見る。
(主様はだいぶ感情が顔に出るようになりましたねぇ。”王子”としては出ないほうが良いでしょうに。これもそれも……)
ユーリはルミナに目を向けた。




