6-23 : 好きだから
「ここの方が君の故郷の環境に近い」
そう言ったジークは真顔で、何を考えているのかルミナには分からない。
「ゆっくり考えれば良いさ。相談事があればベネディクト司教にすると良い」
用が済んだとばかりに身を翻すジークの腕をルミナは思わず掴んでいた。
「……」
無言でこちらをみる彼の目が、何用だと訴えかけている。
「ジ、ジークはそれでも良いの……? 私が、ここに残ったって平気なの?」
ルミナの訴えるかのような瞳に、ジークは目元の力を抜いた。
「そうじゃない。だが、よく考えるんだ。ひとまず、彼に相談……」
「もう良い!」
そう小さく叫んだルミナの正面に光の防壁が瞬時に形成された。
「……」
手をかざすことなくルミナが防壁を張るのをジークは初めて見た。
それもいつもは透明で見えない筈のそれは、今目視でき、目の前に立ちはだかっている。
それは何故なのか。
(……影だ!)
光のタイルに影が落ちており、ジークの目に立体として映っているのだった。
嫌な予感がした。
(影とはつまり、光に落ちる闇……)
防壁の向こうのルミナは俯いており、表情が見えない。
「私は、今だってよく考えてた! でも、ちっとも答えなんて出ないよっ。だって、ジークが好きだもん!」
「ルミ……」
「それなのにジークは、簡単に”ここに残るか”なんて聞くのね!」
キッと顔を上げたルミナは金色の輝く瞳に涙を浮かべていた。




