6-22 : 本音
◇
(ジークが好き)
アストリアに王都を案内してもらい夕食までの間、ルミナは与えられた部屋で過ごしていた。
(感情をどこかに置いてきてしまったみたいな無表情の彼が、目を細めて笑うと、ドキドキする。普段そっけなく喋る彼が、元敵国の王女である私に丁寧に接しようとしてくれる姿が、脳裏に、心に、強く響く。強く、どこか孤独で、でも気高い彼が好き。だから、私のせいで彼が傷つくのは嫌。アルカディアの皆が傷つくもの、勿論、嫌……)
ルミナが開けた窓から、秋の気配を早くも感じ取ったマツムシの声が聞こえてくる。
「ゼニウスにもいるんだ」
昼よりも涼しい風が窓から入り、ルミナは目を閉じて髪を靡かせ、耳を傾けた。
(懐かしい……)
アルカディアの城でもこうして虫の声を聞いていた。
「……ゼニウスの方が性に合うのかしら」
ポロリと口から言葉が零れ落ちた。
「君はそうだろうな」
「ジーク?!」
振り返ると、腕組をしたジークがドア枠にもたれかかっていた。その後ろに、頭を下げているシオンが見える。
「教会から戻ってきた頃から、様子がおかしかったから見に来た」
そう言うとチラリとシオンに目をやってから、ドアを閉める。
「おかしかったかな?」
「だいぶな。さっきも無理に笑っていたように思う」
「……」
ルミナは何も言えず黙って俯いた。
「……ここに残るか?」
「っ!」
ルミナが顔を上げると、すぐそばにジークが立っていた。




