6-19 : 可愛い服で笑ったのに、心は少し揺れた
ベネディクトの後を追い、教会の石像の裏へと出たルミナはシオンが目を覚ましてから城へと戻った。
「王都の案内は私がしますわ」
昼食後そう言ったのはアストリアであった。
あまり気分の乗らなかったルミナであったが、アストリアが用意したゼニウスの白いワンピースを身に纏うと少し気分は軽くなった。
(せっかくアストリア王女が用意してくださったのだから)
ワンピースは裾がふわりとしており、ルミナが動くと、ふわふわと裾も愛らしく動いた。
「ふふ」
可愛い服にルミナの顔が自然とほころぶ。
部屋を出て、階段を降りるとアストリアもルミナと同じワンピースを着ていた。
「王都で流行っているんですよ。動きやすくて良いでしょう?」
ルミナにアストリアが笑顔でそう言い、ルミナは力強く頷いた。
「それに可愛いですね」
「そうなのよ。あら、ジーク殿下も来られたわ」
アストリアの視線を追って階段を見上げると、白い半袖シャツに袖のないベストを着たジークが階段を下りてきていた。
(ジークが白いシャツ着てる!)
いつも黒い服装ばかりなので新鮮であった。
「……落ち着かない」
薄茶のベストを掴むジークはどこか不服そうであった。
「そう? 似合ってるよ」
うふふとルミナが機嫌よく笑うと「そうか。ならば気にしないでおこう」とジークは不服そうではあるが、諦めた様子で腕を組んだ。
「私たちのことは褒めてくださらないのですか?」
アストリアがルミナの腕を引き、顔を寄せる。
「……似合っているんじゃないか?」
ジークは初めて二人がお揃いの服であることに気が付いた。
(ちょっと! アストリア王女にその態度はどうなのよ!)
ルミナが文句ありげにジークを見たが、好かれたい訳でもないジークは、昨日同様、知らん顔であった。
「うふふ。ジーク殿下はクールなのですね」
アストリアは華のように笑うと、城を出て馬車に乗り込んだ。
白くキラキラとした装飾の施された馬車にジークは抵抗を示したが、アストリアの「あら、外面ばかり気にする人なのですね」と笑顔で放たれた言葉によって、馬車に乗り込んだ。
(アストリア王女はジークの扱い上手かも)
ルミナは最初はそう思ったのだが、アストリアは何かに付けジークを構い、ジークが距離を置こうとしても、その距離を詰めるのが上手かった。
「殿下は何がお好きですか?」
そう言ってアストリアはジークに近寄る。




