6-17 : 地下の闇で、血筋の秘密が囁かれた
中に誰もいないか確認するために、うっすらと開いた扉を少し覗く。
物置部屋なのか、色々物が壁側に積まれている。そこ濃い影を見つけ、ユーリはその影に駆け寄った。
「……シオンか」
ユーリの後に続いたジークが呟いた。
ジークの言う通り、濃い影は黒い服を身に纏ったシオンであった。窓から注ぐ光が弱いせいか、顔色が悪く見える。
「寝ているだけですね」
脈を取っていたユーリはそう言うと、シオンの手や足を縛ってある縄を解き、彼女を横抱きにして部屋を出た。そのままシオンを階段近くの壁にもたれかけさせる。
「……」
ユーリは黙ってシオンを見下ろし、ジークへと体を向けると、また奥へと進み始めた。
先ほどの部屋から暫く進むと、また部屋があり、そこから微かに声が聞こえる。
ジークとユーリは頷き合い、扉に耳を寄せた。
『……例えばその黒髪について、とか』
ジークはベネディクトの声に、一瞬、ユーリを見た。
ユーリはジークに背を向けたままドアに耳を付け、微動だにしていない。
『黒髪はただの遺伝よ。大おばあ様にここだけ似たのよ』
ぼんやりと聞こえるルミナの声は不機嫌であった。
『貴女が暴れないことを信じて、手の縄を切りましょう』
ルミナの不機嫌な理由が分かると同時にジークの眉はピクッと動いた。
『本当ですかな? ルミナ王女は、魔力が強かった先々代の王女陛下に瓜二つだと聞きましたが』
『……』
『それなのに、何故、ルミナ王女の魔法が強いものでないのか……興味はありませんか?』
『知っているの?』
『えぇ、私は色んなことを知りたくてたくさん調べました。黒髪は……』
(このまま聞かせるべきか……それとも……)
ジークはベネディクトを止めたい気もしたが、自分の推察が合っているのか、そちらにも興味があり、ぐっと手を握った。
『精霊王の“愛おし子”の証なのですよ。人を決して傷付けないアルカディアにおいて唯一、傷を付けられる魔法を使える証なのです』
(え?)
足を縛られ、白い台に置かれているルミナは御伽噺に出てくる名前に瞬きをした。




