6-12 : ステンドグラスと石像
(思っていたより仲が良いなどとは面倒な。ユリウス王子に心を傾けてくれれば良かったものを)
ベネディクトにとって欲しいのはルミナだけであって、ヴァルハラの王子など邪魔なだけであった。
「時間をとらせて悪かった。案内を頼む」
そう思っていた人物・ジークに柔らかくそう声を掛けられ、ベネディクトはおくびもなく、笑顔で応えた。
「いえいえ、とんでもない。さ、こちらへどうぞ」
「お願いします」
ルミナは気恥ずかしそうにそう言うと、俯きながらベネディクトについていく。
ジークはいつもの真顔ではあるが、やや楽しそうにルミナと並んで歩いていた。
ベネディクトは教会の正面で足を止め、扉に手を掛けた。音もなく教会の扉が開くと、はめられたステンドグラスから入る光がその中を照らしていた。
「わぁ、綺麗」
日差しに透けるステンドグラスを、ルミナは見上げた。
教会には若い神官が一人だけがおり、ベネディクトが開けた扉をゆっくりと閉める。
扉が閉まる音にルミナは一度振り返り、そして正面に目を向けた。
正面にはゼニウスの神の石像がステンドグラスの光を浴び、黄色やオレンジ等の暖かい光に照らされていた。
「……」
足元の地上を慈しむような笑みを浮かべた石像は、ベネディクトの法衣のような物を身に纏っている。右手はこちらに差し伸べられ、左手は肩に乗っている鳩に向けられている。
「……おぉ! なんと!」
石像に魅入っていたルミナの耳にベネディクトの驚きの声が入り、ハッとそちらに目を向けた。
ベネディクトはルミナのやや後ろ―ルミナとジーク中間―で、石像を仰ぎ見ていた。




