6-9 : 夕暮れの“好き”が、朝になっても胸にある
◇
(……朝……)
カーテンのわずかな隙間から漏れ出る朝の光に、ルミナは目を細めた。
『君が……好きなんだ』
急に日暮れのジークの告白を思い出し、ルミナは布団を抱きしめて左右に転がる。
(……夢じゃないよね……?)
額を擦るルミナの頬は紅潮していた。
カーテンを開け、窓から外を見下ろすと、朝日を白く反射しているササユリが輝いて見えた。
「……」
ルミナは窓枠に頬杖をつくと、まだ赤い頬のままじっとそれを眺めた。
◇
「折角、ルミナ姫と再会できたのに、もう行かないといけないなんて」
ユリウスが肩をすぼめる。
(早く行け)
そんなユリウスにジークは内心そう思った。
「来週にはまたヴァルハラでお会い出来ますから」
ルミナは困ったような笑みで、そうユリウスを励ました。
今回の交換留学はひとまず、一週間と決まっている。
「そうよ、困らせるようなことを言ってはいけないわ」
昨晩の晩餐会に出席していたユリウス姉・アストリアが微笑んだ。
アストリアはシリウスと同じ金髪碧眼の優しい柔かな雰囲気の女性である。
「そうだね。また来週」
そう言って自然と、ルミナの手を握る。
そんなユリウスの手を、無言でジークは外し、自分と握手させた。
「お気をつけて」
「正直嬉しくないけど、ありがとう」
ユリウスは笑顔でジークの手を外し、船へと乗り込んだ。
その後を追ってユリウスの護衛が船に乗り込む。
白いゼニウスの船が黒煙を吐き、ゆっくりとヴァルハラに向かって進み出した。




