6-7 : 夕焼けに染まるのは、花か頬か
ルミナは微かに頬を染め、そんな二人にチラチラと目を配る。
(……ジーク妬いてるのかな……?)
自然とこめかみに手が伸びる。
昼間も今も、ユリウスに対抗しているように見える。
「ユ、ユリウス王子。もう日が沈んでしまいます。よくユリも見えなくなるので、明日にでもまたお誘い願えたら……」
「勿論、俺も誘って頂きたい」
ルミナが精一杯勇気をふり絞って言っているのに、ジークはケロリと便乗した。
「そうですね。ルミナ姫がそう言うのでしたら……」
ニコリとユリウスは笑みを見せ、先に失礼しますと、城に戻って行った。
「……君もシオンなしで行動するとは感心しないな」
ジークは黒い瞳を、ユリウスが去っていった方からルミナへと移す。
「感心しない……それだけ?」
やや眉尻を下げたルミナに問われて、ジークはルミナの瞳を見つめ返した。
「他に……」
何があると、言いたかった。
だが、その言葉は喉に詰まり、少し開いた唇の隙間からは何も出なかった。
「ねぇジーク、ユリウス王子に、妬いてたんじゃないの……?」
ルミナはぎゅと自分の服を掴み、靴先に視線を落した。
そこには、ジークからもらった黒い革靴が。
そっと、ゆっくりルミナが顔を上げると、ジークは口元を抑えて渋い顔で広い庭を眺めていた。
ルミナもそちらを見る。
庭に植えられているササユリが夕暮れの色に染まっていた。
「綺麗……」
ルミナの呟きに、ジークは初めて花が咲いていることに気が付いた。
彼は花を見ていたのではなく、自分の行動を振り返っていたのだった。
「……そうだな」
「意外! ジークでも花が綺麗だと思うんだ」
風に靡いた髪を抑えてルミナが笑った。
「そっちではない」
「そっちでは……」
ジークの言いたいことが分かり、ルミナの頬が夕焼け色に染まる。
「……自分で聞いてきたのだろ」
ふっとジークが微笑むと、ルミナは唇をキュッと結んだ。




