6-3 : 金髪の王子が微笑み、黒髪の王子は拳を握る
白の生地の金の刺繍のされた服をまとった彼が従者の手を借り、馬から降りると、ルミナの前で足を止めた。
「二年ぶりかな? ルミナ姫はまた一段と可愛くなったね」
そう言って彼はルミナの手を取る。
「ありがとうございます。ユリウス王子こそ、麗しいままで年月を感じませんね。時が止まっているみたい」
ルミナは微笑んだ。
以前、ルミナが留学に来た際、二人は挨拶を交わしているのだ。
「なら、僕のとことにお嫁にくれば良かったのに」
そう言ってユリウスはルミナの手の甲にキスを落とした。
まあ!と、目を丸くするルミナの隣で、ジークは(ぶん殴ってやろうか)と、苛立ったが拳を握って堪え、息を吐いた。
「初めてお目にかかります。ヴァルハラが第二王子、ジーク・ヴァルハライトと申します。彼女は俺の婚約者なので、そのような行動は……」
ジークが二人の間に立ち、拳を開いた手でユリウスの手を掴んだ。
「ただの挨拶じゃありませんか」
サラリと金髪を靡かせ、口角を上げたユリウスが目を細める。
「せっかく、久しぶりにルミナ姫に会えたんだから、僕の出国は明日でも?」
ジークの腕を振り解くと、ユリウスはジークを見つめたまま袖を直す。
「勿論、構いません」
ジークはそう言いながら(自国でその発言とは……拒否させる気などないだろ)と、舌打ちしたい気分であった。




