5-11 : その一言で、全部報われた気がした
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会場から近いという理由でルミナの部屋に体を滑り込ます。
背後でドアを閉めたジークは一息ついた。
良好な関係の婚約者であるとアピールできれば、ルミナへの当たりは強くないものになるだろうと思っていたので、彼なりに気が張っていた。
(愛想笑いは疲れる)
真顔が多いためか、緊張のせいか、顔の筋肉が痛いような気がした。
首を伸ばす程の余裕ができてやっと、自分に背を向けてに立っているルミナの顔が、夕焼けほど赤くなっていることに気が付いた。
「熱でもあるのか?」
「誰のせいよ!」
キッと赤い顔でルミナは睨む。
「……俺か?」
「ジーク以外の誰がいるのよっ」
もう!と、ルミナは腕組し、背を向ける。
ジークも腕組し、今までの行動をさかのぼる。
(あぁ、成程。それにしても……)
ふんっと怒って背を向けているルミナに目を向けた。
(思った以上だったな)
ルミナの毅然とした態度を思い出し、彼女を褒めたいと思ったが、褒められたことなどなかった為、なんと言えば良いのか分からなかった。
「……似合っている」
「え?」
ルミナに振り向かれ、言葉に詰まる。
容姿の褒め方しか思いつかない自分に嫌気が差したが、間違ってはいない。
「その……ドレスのことだ。それと、今日は上出来だった。嫌な目にあわせたな」
やっとのことで思いを伝えると、ルミナは嬉しそうに微笑んでいた。




