5-6 : 君の結婚姿を想像してしまうほど
父が急に、婚約者としてルミナを宰相等に紹介したいと言ってきたのは、自分がいつまで経っても、ルミナに手を出す気配がないから、外堀から埋めてしまおうと考えたからに違いないとジークは思っている。
(ルミナはアルカディア国王の一人娘だ。この件が片付いたら、自国に帰って、俺みたいのではなく、慈悲深いルミナに似合う相手と結婚するのが一番だ)
先ほどの態度から、ギルベルトはルミナを悪いように思っていないだろうとジークは推測する。
ならば、うるさそうなじじい共を騒がせないようにするだけで済むと、ジークは唇を一文字キュッと結んだ。
しかし、いつか訪れるだろうルミナの結婚姿を先ほどのドレスで想像してしまったジークはすぐに、ふっと息を吐いた。
(彼女の式は、俺の目に触れないところでして欲しいものだな)
昨日ルミナが癒したお陰で、全く傷跡の残っていない左腕に目を落とし、ジークは珍しく自嘲の笑みを浮かべた。
◇
「……ん~」
あの後、髪型やドレスの刺繍などを凝りだしたマリィから解放されたのは、日が暮れる頃であった。いつも以上に疲れたルミナは湯あみ後、すぐに寝てしまっていた。
(もう真っ暗だわ)
何気なく寝返りを打ったルミナは目を見開いた。
「え……?」
いつもならあるジークの姿がどこにもなかったのである。




