5-4 : 無表情の奥にあるものを知りたい
「そ、そんなんじゃないです! 仲は悪くないと思うけど……」
カァアと、顔を赤らめ、ルミナはもじもじと指をいじりながらそう言った。
「まぁ!」
一人照れているルミナにマリィは破顔し、シオンまで少し目を丸くしている。
「若いって良いわねぇ」
マリィがシオンに耳打ちする。
(無難に、そうですねと言えば良いのだろうか……?)
シオンは一点を見つめる。剣術の稽古が大好きである彼女に、色恋の話は無縁であった。
「貴女も若いから、おばさんの言葉に困るわよねぇ。ごめんなさいね」
マリィが眉尻を下げ、口に手を当てすまなそうにそう言うと、シオンは珍しく慌てた様子であった。
「いや、その……こちらこそ、こういった場に慣れておらず、申し訳ない……」
そう大真面目に肩をすぼませ、頭を下げるオンに、マリィは再度「若いって良いわねぇ」と微笑むのであった。
◇
(全く反省してなかったな)
ジークは真っ直ぐ前を向きながら、大股で足をさばく。
父王にルミナの寝巻について抗議しに行ったのだが……。
(何が『似合っていただろう』だ!)
似合っていたが、そういう問題ではない。
とにかく彼女に踊り子のような恰好をさせてくれるなと言ってきたのだが、大丈夫なのだろうか。反省の様子など全く見えなかった為、不安でしかない。
コンコンッ
「入るぞ」
ルミナの衣装合わせに指定した応接室のドアを開けると、白いストレートオフショルダードレスを身にまとったルミナと目が合った。
胸元は隠れているが、鎖骨が綺麗に見える。
ジークが黙ってルミナを見つめていると、
「王子殿下、如何ですか?」
と、マリィが屈託のない笑みを浮かべ、ジークに問いかけた。
「良いのではないか?」
顔色一つ変えないジークに、ルミナは不服そうな視線を送る。
「装飾品もそのまま任せる」
ジークはそれだけ言うと部屋から出ていった。
(それだけ?! 他にもっと言うことないの?!)
ルミナがジークの出ていったドアを睨んでいると「照れていましたねぇ」とマリィが笑った。
(どこらへんが?!)
目を丸くしてマリィを見ると、うふふと笑っている。
シオンに至っては全く表情が読み取れない。真顔である。
(……もっとさ、似合ってるとか……。無理ね、ジークそんなことを言うの想像できないもの)
そう思ってみたが、どこか寂しいルミナであった。




