4-15:露出問題
前話で生まれた二人の微妙な距離感が、このやり取りにも続いています。
「そういえば」
絵本に視線を落としたまま、ルミナが口を開いた。
「うん?」
「ヴァルハラでは足を出す習慣ないんじゃなかったの? 今日の服、丈がものすごく短いけど」
そう言いながら彼女は後ろにいるジークを振り返り見る。
「そう思ったのなら、着ないでくれ……」
ジークは額に手をあて、いやいやと首を振った。
「でも、せっかく用意してもらったのに……」
「あのな、この調子でいくと踊り子みたいな服になっていくぞ」
薄い布で腰回りと胸元しか隠していない踊り子をジークは思い浮かべたが「踊り子って?」と、そもそもルミナには通じなかった。
「いや、何でもない。とにかく、着るのを躊躇った場合は着るな。いいな?」
「うん……」
何故、ジークが少し怖い顔でそう言うのか、ルミナは不思議に思いながらも頷く。
「それならばいい。本は明日にするか?」
「え~!」
「ならば読めばいい」
先を捲るよう顎で促す。
ルミナは子供に読み聞かせるように、朗読し始めた。
内容は精霊王が七人のお姫様を悪い精霊や、神、魔獣等から救う話であった。
(悪い神が出てくるのか……ゼニウスの王子にでも置いていくか)
それだと嫌味が過ぎるか?と、ジークは秘かに笑った。
「ヴァルハラにもこんな感じの絵本ある?」
ルミナが振り向いて、興味深々の瞳を向けてくる。
「どうかな? 関心がないから、なんとも言えないな」
「絵本読まなかったの?!」
「記憶にある限りでは」
あり得ない!と、絵本好きなルミナは戦き、幼いジークが絵本に喜んでる姿が想像できないことから(あり得るか……)と、考え直した。
「ところで、精霊王とは実在するのか?」
精霊が見えるルミナなら知っているだろうと、ジークは思った。




