ep.06 傾く心
「このユーリが城を案内いたしましょう」
昼食後、ジークは調べものがあると、何処かに行ってしまった。すると、彼がそう言ってやってきたのだった。
(要らないって言ったら怒るかしら?)
ルミナは露骨に嫌な顔をした。
「おやまぁ、嫌われたものですねぇ。せっかく、ジーク様から離れて案内してあげようと思ったのですが」
はぁあと、これ見よがしに溜息を吐く。
「シオンさんにしてもらうから、良いわ」
堪らず言い返してから、はっと口を塞いだ。
目だけをユーリに向けると、普段糸目で、黒目の見えないユーリの目が見える。
(お、怒ってる!!)
「いい度胸ですねぇ。さっき防御の光の壁が作れたからと言って、図に乗っているんじゃないです?」
朝食後、ジークと色々と試した結果、不意の起こることには対処できないが、掌をかざせるのなら、ルミナは光の壁を生成することが出来ると判明した。
ジークは身の危険を感じたら防壁を作ると良いと、ルミナに笑顔で言ったのだった。
「そんなんじゃ……」
ジークの笑みを思い出して、ルミナはほんのりと頬を染めた。
「あ~、なんだか、無性に試し斬りしたい気分ですねぇ」
ユーリの顔は笑っているが、完全に目が据わっている。
(試し斬り?!)
不穏な一言に一歩引くルミナと同時に、シオンが一歩前に出る。
「ユーリ様」
シオンは自分の背にルミナを隠す。
「えー? シオンだって嫌ってたくせに、庇うんですか」
ふーんとユーリが口を尖らせた。
(そうかなと思ってたけど、言葉にされるとちょっと傷つく……)
ルミナは目の前の凛として立つ、シオンの結われている髪を見つめた。




