ep.03―4
自分が出来損ないなのだと、思っていても口に出すのは初めてであった。
ルミナは胸が切なくなった。
「それで充分だろ」
”治癒の能力”
ヴァルハラにはないものである。
(それでセニウスは彼女が欲しいと……?)
珍しい能力だと思いジークが言ったセリフを、ルミナが自分を励ましているものだと勘違いし、ううんと首を振る。
「大おばあ様とは雲泥の差だわ……」
ルミナは自分の黒髪を指で弄ぶ。
「……君のその治癒能力は、何の精霊の加護を持っていることになるんだ?」
「文献には光の精霊だと……」
その精霊の加護を持つ者が、本来なら、擦り傷以外にも治すことができるということを、ルミナは伝えられなかった。
「光の精霊……アルカディアには黒い瞳の者はいない。違いないか?」
「え? そうだけど……」
それがいったいなんだと言うのか?
ルミナは瞬きする。
「君の瞳は光の色、つまり光の精霊の加護を持つ。君の曾祖母のように赤い瞳の者は、火の加護を持つ。合っているか?」
こくこく、とルミナは頷く。
「他にも火を消す”水”、その水を食い止める”草”や”土壌”の精霊がいるのではないか?」
「えぇ、いるわ」
「憶測だが、自然の摂理に則る形で精霊は存在している。ならば、君を光とすると、それを打ち消す”闇”の精霊がいるはずだ」
日の差すところに影が出来るからなと、ジークは言う。
ルミナは自分が今まで考えもしなかったことを言われ、衝撃的であった。




