第十三章 戦鬼
ジュエルニュートの眼前に躍り出たアッシュに、巨大な怪物は大きく大顎を開き、腥い息を纏った咆哮を浴びせる。
石畳を砕く激震の余波が、広間の空気を暴力的に引き裂いた。
「おぅおぅ、生臭ぇ息ぶちまけてくれやがって、随分と威勢がいいじゃねぇか」
アッシュは頭上から迫り来る巨躯の爪先を、紙一重の身のこなしでひらりと躱す。
その巨体が通過した軌跡には、ねっとりとした酸性の粘液が霧のように飛び散り、背後の石壁を激しく焦がした。だが、足元はその飛沫すら掠めることなく、水面を滑る木の葉のように軽妙だった。
「しっかりしろ……!」
少し離れた崩落の陰では、シェ・ダライとハセミが、傷つき倒れた姉妹たちの救援に奔走していた。
シェ・ダライは屈強なその身を挺し、怪物が放つ衝撃波を防ぎ、周囲をうろつく傀儡どもを牽制し、その隙にハセミが手際よく負傷した隊員たちの応急処置を進める。
「くっ……! くそっ……!」
リッカは悔しさに奥歯を鳴らし、自分の血で汚れた銀槍を再び手繰り寄せようと這い上がろうとする。しかし、全身の生命力を吸い取られた反動から膝が痙攣し、思うように力が入らない。
「大人しくしてろ」
冷徹な、だがどこか余裕を含んだ声が降ってきた。
ジュエルニュートが再び巨躯を翻し、丸太のような巨尾を横薙ぎに叩きつけてくる。凄まじい風圧が周囲の空気を引き裂いた。
だが、アッシュは逃げない。
迫る巨尾の直前、彼は腰の曲刀を一閃させ、その切っ先を怪物の分厚い鱗の隙間へと正確に突き入れた。
「ガァァァッ……」
怪物が耳をつんざくような悲鳴を上げる。
だが、それで終わらない。ジュエルニュートの背と腹に埋め込まれた人造魔法石が不気味な蒼光を放ち、アッシュの切っ先を伝って、その生命力を根こそぎ吸い取ろうと無数の魔力の触手が這い寄ってきた。
「ほう……なるほど、これで生体エネルギーを吸い取っていくのか」
アッシュは微動だにせず、その触手が肌を捉えるのを許した。
瞬間、肉体から膨大な生体エネルギーが吸い上げられていく。だが、その吸い口となった左手首の衣服の隙間からは、そこらの量産品とは比較にならない、圧倒的な純度と密度を誇る禁断の天然魔法石が鈍く光を放っていた。
バルコニーで見下ろしていた臙脂色の長袍の男が、勝ち誇ったような笑みを浮かべる。
「愚か者め……! いくら個人の武勇に優れていようとも、このジュエルニュートの核を前にして自ら命を差し出せば、その強大な魔力ごと一滴残らず吸い尽くされて干からびるわ!」
男の勝ち誇った声が広間に響く。
事実、吸い上げられたあまりの膨大なエネルギーに、怪物の体表に埋め込まれた青黒い結晶は歓喜するように眩い光を放ち、その巨躯は一段と膨れ上がったように見えた。
――だが。
怪物の動きが、突如としてピタリと止まった。
「な……」
誇らしげに笑っていた長袍の男の表情が、一瞬にして凍りつく。
吸い上げたはずのエネルギー。それが怪物の肉体を活性化させるどころか、あまりに強大で、あまりに禍々しい異質な毒を含んだ底知れぬ闇の奔流となって、ジュエルニュートの核そのものを内側から食い破り始めたのだ。左手の天然魔法石が放つ過剰すぎる濁流が、怪物の胃を激しくもたれさせ、狂乱の暴走を引き起こす。
怪物が苦悶のたうち回り、巨体を激しく痙攣させる。
埋め込まれていた人造魔法石のあちこちに、耐えきれないとばかりに蜘蛛の巣のような亀裂が走った。
「悪いな、俺の命はちょいと胃もたれを起こす代物でね」
アッシュは不敵に笑い、自らの肉体を縛っていた魔力の触手を、ただの腕力と凄まじい気魄だけで力任せに引き千切った。
しかし、その暴れ狂うジュエルニュートのすさまじい破壊力を目の当たりにし、アッシュは右手に構えた曲刀をチラリと一瞥して小さく息を吐いた。
「こいつじゃいささか手に余るか」
石畳が軋む音が、地響きと共に広間を這う。
苦悶に荒れ狂うジュエルニュートの巨躯は、体内の胃もたれを引き起こす闇の奔流に耐えかね、八つ当たりとばかりに周囲の残骸を無差別に薙ぎ払いはじめた。
そしてその矛先は、安全圏から高笑いしていたはずのバルコニーへと向けられる。
「ひっ……な、なんだ、待て、来るな、貴様――グェッ」
バルコニーの欄干にしがみつき、青ざめて逃げ出そうとした臙脂色の長袍の男の視界を、狂乱した巨躯の振るった巨大な爪が文字通り塗り潰した。
肉の潰れる生々しい音と共に、男の悲鳴は途中で途切れる。防壁ごと粉砕されたバルコニーから、鮮血を纏った長袍の残骸が、まるでゴミ屑のように広間の床へと真っ逆様に叩き落とされた。自らが従えたはずの怪物の暴走によって、首謀者はあえない最期を迎えたのだった。
「やれやれ。やりたかねぇけど、仕方ねぇか」
アッシュは頭上で起きた惨劇を一瞥することもなく、低く吐き捨てると、自らの左手を覆っていた赤黒い革の手甲へと右手をかけた。
それは、左手に埋め込まれた高純度の天然魔法石が放つ、制御不能の暴走と破滅的な魔力を抑え込むための枷に他ならない。普段ならば、その封印を解くこと自体が生死の賭けだった。だが、目の前の怪物を断ち切るには、もはやその力を解放する以外に道はない。
周囲の空気が重く澱み、空間そのものが歪むような気圧の変動が起きる。
革の手甲が外された瞬間、アッシュの左手から禍々しくも美しい赤黒い光が、闇を切り裂くように奔流となって噴き上がった。
「シェダッ!」
ジュエルニュートを見据えたまま咆哮するアッシュに、呼応するように、シェ・ダライが「応ッ」と腹の底に響く声で返すと、シェ・ダライは背負っていた身の丈ほどの重剣を、その渾身の膂力で凄まじい風切り音を伴ってアッシュの目の前へと投げ放った。
飛来する豪速の重剣が、甲高い破砕音と共にアッシュの足元の石畳を砕き、突き刺さる。
その傾いた幅広の刀身が、まるで己が前に立ちはだかる敵の墓標の様に映る。
そして静かに柄に手を伸ばすアッシュ。
その時だった。
「待って……みんな無事……?」
崩落した通路の隙間を縫うようにして、息を切らせてその場に飛び込んできた影があった。
エルフィムだ。彼女は遅れて広間にたどり着き、目の前に広がる凄惨な光景に息を呑んだ。傷つき倒れるリッカたち、先ほどまで笑っていた男の無残な死骸、そして狂乱する巨大なジュエルニュート。
だが、その瞳が恐怖に大きく見開かれたのは、その中心に立つ人物の姿を見た瞬間だった。
アッシュが、右手でその重剣の柄を握ろうとしている。
彼の左手からは、周囲の空気まで凍りつかせるような禍々しい赤黒い天然魔法石の光が溢れかえっていた。
あれは天然魔法石の暴走を抑えるための手甲ではなかったのか。どうしてそれを外しているのか。
エルフィムの脳裏に、自らの浅はかさと無知がもたらした過去のやり取りや、この状況を招いた原因の数々が雷に打たれたように蘇る。自分がもっと早く気づいていれば、自分が余計な真似をしなければ、彼はこんなものを使わずに済んだはずだ。
「やめて……」
叫ぼうとした喉から、恐怖と後悔で声にならない悲鳴が漏れた。
制止の声を上げる間もなく、アッシュは冷徹に、自らの左手に意識を集中させる。
緊迫した空気の中、彼は音にならないほどの早口で息継ぎを忘れ、次々と呪文を咀嚼するように唇を動かし続ける。紡がれる言葉そのものは風にかき消され、ただ耳障りな呪文の残響と、空気の澱みだけが周囲に重くのしかかる。
低い地響きが鼓膜を揺らす。
呪文の重畳に呼応するように、まず肉体が悲鳴を上げた。
右腕を這う血管がミミズ腫れのように赤黒く太く浮き上がり、破裂せんばかりに皮膚を押し上げる。だが、それは始まりに過ぎない。早口に重ねられる術の行使がその内側からさらに分厚いエネルギーを押し込み、肉体の許容量を暴力的に拡張していく。筋肉の繊維が悲鳴を上げ、音を立ててミシミシと軋んだ。
重ねられる負荷は、肉体だけにとどまらない。
限界を無視した高速の詠唱によって神経回路を焼き付けるように魔力が注ぎ込まれ、
アッシュの瞳孔が小さく収縮した。脳裏を焼き焦がすような過負荷の激痛が走るが、彼はその一切を意志の力だけでねじ伏せる。
常軌を逸した心音の奔流が響く。
無数の呪文を早口で塗り重ねる強制的なエネルギーの押し込みが続き、アッシュの全身からは陽炎のような禍々しい熱量が立ち上っていた。限界を超えた筋組織が細かに破裂し、皮膚のあちこちから微量の血煙が霧のように噴き出す。
少し離れた崩落の陰で、怪物の応急処置を終えたヒルダ、アイネ、ミサーシャの三人は、目の前で起きた信じられない光景にその場で足を止めた。
特に、噂や胡散臭い評判を聞かされてアッシュに懐疑の目を向けていたアイネは、生で見る彼の異様な変貌を目撃するなり、全身の毛が逆立つような衝撃に打たれる。
恐怖で足がすくむはずの状況で、アイネの胸の奥底で燻っていたのは、奇妙な熱だった。
戦いを好み、強い者に牙を剥くことを本能とする彼女の野生が、目の前の男から放たれる禍々しいまでの殺気と圧倒的な力の奔流を感知して、狂おしく高ぶる。胡散臭いどころか、自分が今まで知らなかっただけで、目の前の男は歩く死線そのものだったのだと本能が理解した。
冷や汗を流しながらも、アイネは武者震いする両手を強く握り締め、その背中から一瞬たりとも目を離すことができなかった。
隣ではミサーシャが青ざめた顔でガタガタと震え、ヒルダもまた血の気のない唇をわなわなと震わせる。歴戦の魔獣や手強い傭兵たちを見てきたヒルダの直感も、あれは人間に許された領域の力ではなく、自らの肉体と魂をすり潰す本物の化物、狂乱の戦鬼そのものだと告げていた。
冷や汗と複雑な高ぶりに染まった妹たちの視線など気にも留めず、アッシュは痛みを気力だけで完全に封じ込め、信じられないことに、石畳に深々と突き刺さるその鉄塊の如き重剣を片腕だけで引き抜いた。
「さぁ、愉しもうぜ、大将」
踏み出す足の下で、石畳が粉々に砕け散る。
アッシュの姿は、もはやそこにはなかった。
あったのは、踏み出した足に飛ばされた石畳の破片と、置いてけぼりにされた音の残響だけだ。
アッシュを視認できた時には、すでにジュエルニュートの懐、右後ろ脚のところにいた。そして既に左手で印を結んでいたアッシュは、自身を駒のように半転させると、巻き込んだ重剣その脛に叩き込んだ。
深々と喰い込む重剣に施された爆刃が爆ぜる。
地響きを伴う凄まじい爆裂が広間を揺らし、抉られた右後ろ脚の痛みに、ジュエルニュートは巨躯の体勢を大きく崩した。
しかし、その時すでにアッシュの姿はそこにはなかった。
次にアッシュの姿を視認できたのは、絶望に暴れる怪物の背中だった。
重力すら無視したかのような跳躍から大きく振りかぶられた重剣が、青光を纏ってぬめりとした怪物の背中を鋭く穿つ。
鮮血と体液が闇夜の雨のように飛び散った。
それだけでは終わらない。
アッシュは突き刺した重剣を引き抜くと同時に、禍々しき魔力の光を溢れさせる左手を、その生々しい傷口へと直接捩込んだ。
音にならないほどの高速の詠唱を重ねながら、アッシュは手甲のない左手から肉体の内側へと強烈な魔力を流し込む。
それは一度や二度ではない。
澱んだ呪文の残響に呼応するように、二度、三度、四度と連続で怪物の体内から爆ぜる。
「ガァァアアァァッ!」
背中を大きく、無惨に抉り取られたジュエルニュートが、すべてを諦めるかのような絶望の叫びをあげて床へと崩れ落ちた。
だが、ジュエルニュートは死に物狂いでその巨大な顎を跳ね上げた。
歪んだ咽頭から熱気が逆巻く。次の瞬間、大きく開かれたジュエルニュートの口から、灼熱の炎が凄まじい熱量を伴って広間の一帯へと撒き散らされた。
圧倒的な熱風が吹き荒れる中、アッシュは慌てる様子もなく左手で新たな複雑な印を結ぶ。
低い息継ぎを挟み、冷徹に早口で言葉なき呪文を咀嚼していく。
冷徹な詠唱の気配と共に、左手を鉄塊の刀身へと滑らせるようにあてがった。
次の瞬間、うねるような轟音を立てて、重剣の刀身は陽炎のような蒼白き光を放ち、一瞬にして凍りつく厚い霜と鋭い氷の結晶を纏い始める。周囲の気温が急激に低下し、熱波と冷気が激しくぶつかり合って白い蒸気が爆発的に噴き上がった。
アッシュは氷結した重剣を柄から逆手に持ち替えると、それをまるで自身の巨体を守る堅固な盾の如く眼前に構えた。
奔流する炎がアッシュを呑み込む。
だが、蒼白く輝く霜の重剣が放つ絶対零度の障壁は、荒れ狂う業火をものの見事に左右へと切り裂き、その一歩たりとも通さない。
猛火の奔流を盾でいなしながら、アッシュは跳ね上がった。
炎の嵐を真っ向から突き抜け、ジュエルニュートの逃げ場なき巨大な眼前の空中へと、まるで一筋の冷たい流星のように飛び上がる。
眼前に迫るのは、すべてを焼き尽くさんと大きく開かれたジュエルニュートの醜悪な大顎。
その剥き出しの咽頭から、未だ熱を帯びた業火の余波が燻っている。
アッシュは蒼白く霜を纏った重剣を逆手に構えたまま、空中ですれ違うように体を捻った。
「終わりだ、大将」
低く呟いた声と共に、渾身の力を込めた横一閃。
絶対零度の冷気を纏う巨剣が、怪物の巨大な口角へと凄まじい軌跡を描いてめり込む。硬質な鱗と肉を引き裂く不快な感触の直後、あらかじめ刀身に仕込まれていた幾重もの爆刃が、その牙を一斉に剥いた。
怪物の頭部内側から巻き起こった連撃の爆風が、その巨大な巨躯を文字通り宙へと跳ね飛ばし、広間の床へと盛大に叩きつけた。
瓦礫の山に埋もれ、ジュエルニュートはもはやピクリとも動かない。完全に沈黙したのだった。
「はぁ、はぁっ……」
勝敗が決した瞬間、アッシュは地面に突き立てた重剣の柄に両手をすがりつかせ、荒い息を吐き出した。
左手に埋め込まれた天然魔法石の力を解放した代償は、あまりにも重かった。
底知れぬ生命力が根こそぎ削り取られていく悪寒に加え、先ほど限界まで重ねがけした幾重もの肉体強化の反動が、一気に牙を剥く。全身の血管が耐えきれなくなり、限界を超えて酷使された筋組織が、次々と断裂していく。
「ぐっ……あ……」
激痛のあまり冷汗が噴き出し、立っていることすらままならない。
右腕は完全に痺れ、支えにしていたはずの重剣の柄からずるずると手が滑り落ちる。アッシュは膝から崩れ落ち、冷たい石畳の上にガタリと両手を突いた。
さらに、枷を外された左手の天然魔法石が制御を失い、さらに凶悪な赤黒い光を脈動させながら、生命力を際限なく吸い上げようと暴走を始めていた。
「アッシュさん……!」
悲鳴のような声を上げながら、エルフィムがたまらずその場に駆け寄る。
彼女は震える両手をアッシュの体に添え、涙を零しながら知る限りの回復魔法を矢継ぎ早に詠唱した。
「お願い、止まって……治って、癒やして……!」
緑色の光がアッシュの体を包み込もうとする。しかし、左手の天然魔法石から放たれる呪詛じみた濁った魔力がその光を瞬く間に呑み込み、弾き飛ばしてしまう。
肉体の断裂も、削り取られる生命力も、一向に収まる気配がない。それどころか、暴走する石の拒絶反応が魔法すらも逆流させようとする。
「どうして……どうして……暴走が、暴走が……あぁ……ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……!」
自分が招いた結果への後悔と、どうしようもない無力感に押し潰され、エルフィムは大粒の涙をこぼしながら何度も呪文を重ねた。だが、無情にもアッシュの呼吸はどんどん浅くなっていく。
「そこまでだ、小娘」
低い、地を這うような声が降った。
血まみれのアッシュの傍らに大股で歩み寄ってきたのは、シェ・ダライだった。彼はうなだれるエルフィムの肩に片手を置き、静かに首を横に振る。
「お前には無理だ」
「で、でも……このままじゃアッシュさんが……」
「退け」
短いその一言に圧倒され、エルフィムは息を呑んでたじろいだ。
シェ・ダライは膝をつくと、暴走の奔流を撒き散らすアッシュの左手を、自らの両手で包み込むようにしっかりと把持した。
常人であれば触れただけで肉体が溶けるほどの魔力が、シェ・ダライの皮膚を焼き焦がす。だが、彼は眉一つ動かさず、凄まじい気魄でそれを押さえ込みながら、深く息を吐き出した。
そして、低く、重く、どこか森の奥の深淵を思わせる独特の節回しで、言葉を紡ぎ始めた。
それは大陸の共通語ですらなく、人里離れた森の僧たちの間に代々伝わる、呪術的なまでの古代の祈り歌だった。
シェ・ダライの口から零れた古代の呪文が響いた瞬間、その掌から淡く、しかし絶対的な重みを持つ琥珀色の光が溢れ出した。
荒れ狂う赤黒い天然魔法石の光がその聖句に押されるように波立ち、そして嘘のように、その狂乱が鎮められていく。命を吸い続ける悪寒がぴたりと止まり、暴走していた左手が静かに沈静化していった。
「はぁ、はぁっ……」
最悪の死地を脱したアッシュが、床に突っ伏したまま、脂汗まみれの顔で荒い息を吐き出す。
その背中を見下ろしながら、シェ・ダライは額の汗を拭い、険しい表情のまま低い声で呟いた。
「相変わらずだな」
シェ・ダライの言葉に、苦痛に顔を歪ませながらも、うっすらと苦笑いを浮かべるアッシュだった。




