太陽のかしら3
月日が流れた。
サキは太陽神のかしらとなり、日々太陽を立て直すことに一生懸命だった。
「……お母さんはあの時、私を愛しているとは言ってくれなかったな」
ぼんやりとそんなことをつぶやきつつ、暁の宮でゲーム休憩をとるサキ。
やっているゲームは「ジャパニーズゴッティ」という、かっこいい男の神と恋愛ができるという特殊な恋愛ゲームだ。
「はあーあー」
「おい、なにため息ついてんだよ」
ゲームをプレイしていると、後ろから男の声がした。
「ん? あー、みーくん、いらっしゃーい」
「ゆるいな……。また、それやってんのかよ」
「うん、今、天御柱さまを落としているよ」
「はあ? 俺かよ……」
鬼の面をかぶった着物姿の青年、みーくんはため息をついた。彼はみーくんと勝手なあだ名をサキからつけられた天御柱神という厄神である。
サキに不当な厄がつかないか、監視にきているらしいが、けっこう遊びにきている感じが強い。
風でもあるため、簡単に入り込める。
「また、入り込んだのかい? もう……」
「あんたの母さんの話なんだが……」
みーくんは言いにくそうに口を開いた。
「うん、なんだい?」
「やはり根強い厄を持ってた」
みーくんは畳の上に座っているサキのとなりに座った。
「お母さんが……」
「厄は……『どうにもならない気持ち』が変貌したものだ。調査をすると、ずっとこの気持ちを持っていて、お前を神の座から引きずり下ろそうと必死になることでプラスの感情を引き出し、自分を保っていたらしい」
「そうかい……」
「あんたの母さんは時神や歴史神達の行動であんたと過ごした十何年を消され、時神の時間の鎖によってあんたがいなかった状態で十何年前まで巻き戻されてもう一度、この時代に戻ってくる。ヒメの話じゃあ、子をふたりもうけて旦那と幸せに暮らしているそうだ。あの太陽神を祭る神社の神主の家系としてな」
「……そうかい」
サキの持つゲームのコントローラーが震えていた。みーくんはサキの肩に優しく手を置く。
「大丈夫だ。お前はもう、ひとりじゃない。俺は東のワイズ軍だが、お前とは友好にいきたい。お前を守るぜ」
「陸の世界のみーくんはもっと厳かだけど、壱のみーくんは穏やかだねぇ……」
サキの言葉にみーくんは首をかしげた。
「鏡の世界の俺、そんなに固いのか?」
「あんまり変わらないけど、陸のみーくんはあんたよりかは仲良くないよ。あたしの力が苦手で深く関わろうとはしてこないし」
「へぇ、壱と陸を回ってるだけあるな。俺には知り得ない事実だ」
みーくんは軽く笑った。
「……壱のお母さんに……会ってみようかな……。壱の世界のが、なんだか柔らかいから」
「お前のことは覚えてないぞ?」
「いいんだよ。なにげなく……挨拶に行こうかなって」
サキはみーくんに微笑んだ。みーくんはサキの表情に息を飲むとしばらく黙っていた。
「んん……、い、いいんじゃね? 行ってみたら。ついていってやるよ」
「ありがとう、みーくん! あと……アヤにも電話したくてさ……」
「お、おう。まあ、いいんじゃねーか?」
みーくんは立ち上がると壁に寄りかかった。




