エピローグ
「みーくん、アヤ、来てくれるって」
「よかったな」
みーくんはサキに微笑んだ。
「あたし、やっと前に進める気がするよ。最初は挨拶から。そのうち、核心を話せるようにしておくつもりだよ」
サキは立ち上がり、人間用の私服を選ぶため、クローゼットをあける。
「そんな現代なもん、暁の宮にあったっけか?」
みーくんは笑いながらクローゼットを眺めつつ、聞いた。
「いや、あたしが輸入したよ。ちょっとは今時にしときたいじゃないかい」
サキは青いワンピースと白い薄手のカーディガンを出してきた。
「挨拶ってどうすんだよ、家に行くのか?」
「いや、メインはショッピングにして、ご近所さん装ってすれ違ったら挨拶するよ」
「ははは、なるほど」
みーくんは笑いながらうなずいた。
……ようやく、お母さんに会う気持ちが持てた。あたしはあの人の娘。あたしを忘れたとしても、あたしはあの人を助けるべきだ。
あたしは太陽神のかしらだ。
希望を持って皆を助ける。
それがあたしの使命じゃないかい。
あたしの中にいるサキも……きっと同じ判断をするはず。
「サキ、お、俺がいるぞ……」
「え、あー、ありがと! みーくん!」
サキは頼もしいみーくんにお礼を言ったが、どうやらそういうことではなさそうだ。
「違うー! ここで脱ぐなー! 出ていくからー!」
「え、あ……当たり前みたいに霊的着物から私服に着替えるとこだったよ。危ない、危ない。みーくん、ごめん、ごめん」
サキは苦笑いであやまった。
「……びっくりした。外で待ってる。じゃあな!」
サキはみーくんが去るのを見届け、着替え始めた。少しだけ緊張感を持ちながら。
「外出なされるのでござるか?」
障子扉ごしにサルの声が聞こえた。
「うん、行ってくる」
サキは力強く答えた。




