22.Sideニコラス
まずい。まずいぞ。
計画が大きく狂ってしまった!
兄上に隠し子? しかも、兄上の母上、つまり亡き王女殿下にそっくりの金髪碧眼で――魔力を持っているらしい。
兄上はおろか、義姉上をも取り込んで、ミヘット伯爵家に入り込もうとしている。
……なんてやつだ!
「私には正当な後継ぎがいたのだ。名をジャン=ルネ・ミヘットという。アーシェラと結婚する前の恋人との子どもだ。母上そっくりの、高貴な顔立ちで金髪碧眼。そして、強い風の魔力を持っている。ジャン=ルネの母親は平民だが、ミヘット伯爵家を継ぐにふさわしい」
どういうことだ?
……許せない。
俺だって、強い火の魔力を持って生まれた。母は平民だったが、兄上よりも魔力は強かったんだ! だけど、ミヘット伯爵家を継いだのは兄上だった。
兄上の母親は王女殿下だ。
だから、何だと言うのだ?
亡き王女殿下は二種類の魔力を持っていたが、兄上は二種類の魔力は受け継いでいないし、俺だって強い火の魔力を持っている。兄上の土の魔力より、俺の火の魔力の方がすごくないか?
俺の母は平民だ――が、俺は強い魔力を持っている。
けれど、ミヘット伯爵を継げなかった。兄上がミヘット伯爵となった。
なのに、平民の母を持つ、ぽっと出てきた十三歳の少年を次期ミヘット伯爵とすると言う。金髪碧眼で魔力があるから。
どうして俺じゃ、だめなんだ!
平民の母とは正式な結婚をしていなかったから? ――ジャン=ルネとかいう少年だって、それは同じだろう?
どうして俺じゃないんだ‼
あの方だって、俺がミヘット伯爵にふさわしいと言ってくださった。
そうして、これまでいろいろな計画を立て遂行してきたのに。
兄上の二人の娘は魔力が弱かった。しかも、女だ。
ミヘット伯爵になるのは、俺だと思っていたのに!
……あの方に相談しよう。
今までもずっとそうしてきたんだ。
あの方が、きっと何とかしてくださる。




