表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
10/31

10.どんな人が好き?

「アニエス先生、結婚式、行くんですか?」

「行かないわよ」


 ルネの質問に即答する。

 王都には近づきたくない。

 ――今、どんな物語が始まっているんだろう? それとも物語展開はもうないのだろうか。

 登場人物になるのはごめんだわ。

 それに。

 何より、ここでの生活が楽しいから!


「……アニエス先生、ロレシオ殿下のお兄さんが好きだったんですか?」

「好きじゃないわ」

「でも」

「とにかく、いろいろ誤解があったのよ」


 あれは物語の強制力だと思うのよ。

 だって、全然好みじゃないもの。自分でもどうしてあんなことをしたのか、さっぱり分からない。

 

「じゃあ……ロレシオ殿下と結婚するんですか?」

「しないわよ」

「でも」

「そもそも、男爵令嬢では王族と結婚は難しいと思うわ。身分が違うもの」

「身分……」

「そうよ」


 この世の中では身分がとても大事だ。

 そこには魔力も関係している。少しでも魔力の強い子が欲しいという思惑も絡んでいる。


「身分が違うと、結婚出来ないんですか?」

「難しいわねえ」

「そう、ですか」

 ルネはなぜかひどく落ち込んだ顔をする。

「ルネは、あたしはロレシオ殿下と結婚するといいと思っているの?」

「そんなこと、思っていません!」


 ルネの力強い視線があたしに刺さる。

 碧い瞳。なんてきれいなんだろう? 金色の髪も、陽に透けてきらきらしている。


「……ルネはきれいね」

「えっ」


 途端にルネは顔を赤くする。

 かわいいなあ。弟ってこんな感じかな?

 前世は一人っ子だったし、今はお兄さましかいないから、ルネみたい子が弟だと嬉しい。


「とにかく、ロレシオ殿下とは結婚しません。同い年だし」

「同い年だと駄目なんですか?」

「あたし、年上が好みなの!」

「セレジュさんみたいな?」

「うん、あのくらいが好きかなあ」

「……セレジュさんが好きなんですか?」

「かっこいいなあとは思うけど、恋愛の好きではないわ。だって、セレジュはリナのことが好きだし、リナはセレジュのことが好きでしょ?」

「……そうですね」


 ルネはほっとしたように笑う。

 ああ、やっぱりルネが弟だといいなあ。


「アニエス先生? どうかしましたか?」

「ああうん。ルネが弟だとよかったなと思って」

「弟……」

「そう!」


 ルネはセドリックも認めるほど、優秀だ。

 今ではセドリックについて、高等算術や経済について屋敷で勉強している。

 ――もしかして、お父さまに頼んで養子にしてもらう、という手もあるかもしれない。

 あのとき。

 ロレシオ殿下がいらしたとき、扉が急に開いたのは、やはりルネの魔力ではないのかしら? もしルネに魔力があるとしたら?

 サニエ男爵家の養子になった方が守ってあげられるかもしれない。


「――僕は弟ではありません」

「それはそうだけど。でも、養子、ということも出来ると思うの」

「アニエス先生の弟、にはなりません」

「そう?」


 いいアイディアだと思ったんだけどな。

 ルネは下を向いているから、表情はよく分からない。

 ……貴族が嫌なのかもしれない。もしかして、出自に関係があるのかもしれないわ。


「アニエス先生は、どんな人が好みなんですか? 年上、という条件以外で」

「えーっと、どうだろう? 単に顔がいいだけの人は好みじゃないわ。……そうね。目標を持って頑張っている人が好きかも」

「……そうですか」

「うん。そうね、あとはいろいろなことを知っている人も好き。ロレシオ殿下は、顔はいいけれど、なんとなく軽い感じがするから、ああいうのはあまり好きじゃないわ――ないしょよ?」

「わかりました。ないしょ、ですね?」


 ルネの笑顔、やっぱりすごくいいなあ。

 ほんと、弟になってくれるといいのに。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ