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カレーは醤油 ~インドの記憶~   作者: そらら
カレーは醤油

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2021年10月25日(月) 2年ぶりだよ! ムンバイ出張

10月25日(月)


 今日は、約2年ぶりとなるムンバイ出張である。


 昔は、自宅のある中野から買い物で新宿へ行くような感覚で足繁く通っていたのに、ここまで久しぶりとなると、私の中にちょっとした緊張感が生まれている。


 チェンナイからムンバイへの所要時間は、1時間50分。


 搭乗するビスタラ航空で提供されるマサラオムレツの機内食がとても美味しいので、とても楽しみにしていたが、現在コロナ対策の一環として、フライト2時間以内の国内線は機内食を出さないルールになっていた。


 残念。


 仕方なくふて寝していたら、あっという間にムンバイ空港が見えてきた。


 改めて窓からムンバイ市内を見渡すと、空港周辺には夥しい数の青いトタン屋根が見える。


 これこそ、ムンバイが誇る世界最大のスラム街であり、映画「スラムドッグ$ミリオネア」の舞台になった場所でもある。


 映画の世界では、主人公ジャマールがクイズミリオネアで賞金2,000万ルピー※を手に入れたが、現実の世界でも、ジャマール役を演じた俳優デーヴ・パテルとヒロインのラティカ役を演じた女優フリーダ・ピントーが同棲をする(その後に破局)というハッピーストーリーを生んだ。(※1ルピー≒1.5円)

 

 しかし、青い屋根の下で起きている現実は、我々の想像を絶するものなのであろう。



 ムンバイ空港には、経営破綻したジェットエアウェイズ航空の機体が、ドアを開いたままの状態で2機放置されていた。


 使い古した自転車やオートバイではあるまいし、ジェットエアウェイズ航空のロゴを消して売却し、その費用をスラム改善に充てるなどの措置が取れたのではないだろうか。


 勿体ないにもほどがある。

 


 空港からムンバイ支店オフィスまでは車で30分の距離だが、その道路脇にも多くのスラム街が軒を連ねている。


 一方で、インドの金融都市らしく、ガラス張りでお洒落な高層オフィスビルが、まるでニューヨークマンハッタンのように空を埋め尽くしている。


 そのコントラストは異様であり、貧富の差そのものである。


 ムンバイ支店にちょっとだけ顔を出し、懐かしいメンバーと挨拶を交わす。


 みんなから「痩せた?」と言われ、ちょっとだけ嬉しい気分になる。


 客とのミーティングを終え、ムンバイで初となる市内観光に出かけた。


 ムンバイ最大の洗濯場ドービー・ガートは、手作業で今も多くの洗濯物を扱う作業場兼観光名所。


 見渡す限り干された夥しい数の洗濯物が、とても印象的だった。


 そして、世界遺産チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅は、ゴシック調の寺院のような佇まいである。


 現役の駅であり、かつてはセントラル・レイルウェイの本店でもあった。


 当時、切符の印刷も駅舎で行われていたそうだ。


 インド門はデリーにも同じ名称の観光名所があるが、デリーは慰霊碑の意味合いがあるのに対し、ムンバイは当時のイギリス国王ジョージ5世の来印を記念して建てられている。


 アラビア海からインドの地を侵略せしめんとする者を威嚇するかのように海岸沿いにそびえ立つその雄姿は、荘厳である。


 最後は、タージマハルホテル。


 アジアの星と呼ばれた豪華絢爛な建物だが、2008年に起きたムンバイ同時多発テロの現場となってしまい、多くの尊い命が失われてしまった悲しき場所でもある。


 テロはイスラム原理主義者によってもたらされたが、いかなる場合において、人の命をあやめることは悪とする宗教原理を作れないものだろうか。


 それを願うのであれば、まず世の中から兵器を一掃することが必要ですね。



 夜は、ゴア料理の名店O Pedroにて、同僚たちと飲み会をした。


 2年ぶりという月日を一気に縮めてくれる、濃密なひと時。


 時間の流れは、人や場面によって一定ではないのだと、再確認した。

この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

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