33『あっ、これ「SAVE THE CAT」でやったところだ!』(Bストーリー)
「改めて」
ブンが言う。
「次の話題。『Bストーリー』だ」
(え? ブン先輩の正体を見破れ、って話じゃなかった? 正解したらなんでも言うことを聞いてくれるっていう)
「その話だよ。『ブンの正体をあばけ!』というミステリパートを、キミと僕の物語におけるBストーリーにするのさ」
(Bストーリー。どこかで聞いた覚えが)
「BS2の第二幕前半におけるテクニックの一つさ。ほら、ダンジョンモノでもダンジョン探索やバトルと並行して、読者を飽きさせないために何か別のイベントを並行させたりするだろう? ド定番は恋愛とか友情だね。新キャラを登場させて主人公に好意を寄せさせ、ヒロインに嫉妬を抱かせるというのもまた定番」
「『あっ、これ「SAVE THE CAT」でやったところだ!』」
「進研ゼミ語録」
キトンは感心する。
ブンに提案してもらった『シスターと主人公の絡みを増やして、リリスに嫉妬させよう』というのがまさにBストーリーだったわけだ。
「他にもグルメとか謎解きとかアイテム収集とか。その点、アニメにもなった漫画『ダンジョン飯』は実に秀逸だよね。重厚なメインストーリーが進みつつも、合間あいまにグルメパートが入ることで、読者を疲れさせず飽きさせない」
『ダンジョン飯』の例は、キトンにとっても非常に分かりやすかった。
『ダンジョン飯』はそのタイトルのとおりダンジョンで飯を食べることが重要なテーマになっているのだが、それとは別に『ドラゴンに食われた妹の遺体をドラゴンに消化され消滅する前に取り戻し(つまり強敵ドラゴンを討伐し)、蘇生させる』というかなりヘビーなメインストーリーが存在しているのだ。
極論すると、グルメパートがなくても物語は成立する。
だが、あったほうが、物語が格段に面白くなるのだ。
キトンとブンの日々が一冊のラノベだとするなら、主題はもちろん『SAVE THE CAT』だろう。
キトンがブンから創作論を学び、自作小説をリライトしてライトノベル大賞での受賞を目指すのがAストーリーだ。
けれど、それだけでは味気ない。
だから、Bストーリーに『ブンの正体をあばけ!』というミステリパートを持ってくるわけだ。
そして、Bストーリークリアのあかつきには、ブン先輩がなんでも一つ言うことを聞いてくれるという極上のご褒美が待っている。
キトンはワクワクが止まらなかった。
「というわけで、クイズの内容を言うよ」
ブンが立ち上がり、仁王立ちした。
「ずばり、僕のペンネームを当ててみたまえ!」
「ペンネーム!」
「ヒントその一。僕はとある作品の作者だ。『カクヨム』にも掲載している。追加のヒントは、また明日に、ね」




