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第八十一話 「偶像の氾濫は、個人の人権を神性へと昇華させる」という話

推しのフィギュア的な?

翌朝。


拓海が嫌々ながら寮を出て校舎へ向かうと、

そこには異様な光景が広がっていた。


「……来たぞ」


ひそひそ。


「“予約済みの聖人(The Reserved Saint)”だ……」


「見ろよ、あの歩き方……ハミルトン卿が像を四体も建てるわけだ」


「東洋の神秘……“日本の神(笑)”降臨だな」


道が、開く。

完全に。

半径三メートル。


誰も、入らない。


十字を切る者。

頭を下げる者。

なぜか涙ぐむ者。


「……おい」


拓海、止まる。


「……誰が聖人だって?」


一歩。


「……誰が神だよ!!」


叫ぶ。


「普通に歩かせろ!!」


「……ああ」


「聖人の御声が……」


「なんて力強い咆哮なんだ……」


一ミリも伝わらない。


そこへ。


「拓海」


来た。


エドワード・ハミルトン。

なぜか後光が差して見える。


「……朝の礼拝(挨拶)が遅れたな」


「……像の効果は絶大だ」


淡々と。


「お前の周囲から、不純なノイズは完全に排除された」


一拍。


「合理的判断だ」


「いや!どこがだ!!」


限界。


「お前のせいで俺、“生きた彫像”扱いなんだよ!!」


胸ぐらを掴んで、グイグイ揺さぶる。


「このクソ馬鹿野郎!!」


「……」


エドワードは無抵抗だ。


むしろ、何故か少しだけ満足げだ。

周囲がざわつく。


「見てよ……」


「聖人に首を絞められて、あんな顔……」


「……至福では?」


「これが真の信仰か……」


「おいやめろ」


「神と信徒の濃厚接触だ……!」


「やめろ!!」


撮影。

拡散。

終わりである。


その横。


「ははっ……!」


ジョージ、崩壊。


「最高だよサエキ……!」


涙を拭く。


「今、学園SNSのトレンド一位が“#JapaneseGod_Takumi”」


「だーかーらーあああ!!やめろってば!」


「ちなみにこれ」


すっと取り出したのは…

ミニチュア版サエキ像。


「エドワード製、3Dプリント版」


「魔除けにいいって評判だよ」


「配るなァ!!」


思わず叩きつける。

像はすっかり粉々に。

周囲、ざわめく。


「……なんて神々しい破壊……」


「試練だ……」


「ちーがーうー!!」


伝わらない(二回目)。


ジョージの記録:


【サエキ事変・神格化編】


サエキ拓海、本人の意思と無関係に

「予約済みの聖人」として信仰対象へ昇格。


ハミルトン様の“偶像戦略”により、

サエキの私生活は“神域”として完全封鎖。


結果:


接触不可。

干渉不可。

常識、機能不全。


(追記)


ハミルトン様、現在


「サエキ様の歩行ルートを聖地化し、

タイルで色分けする計画」


を立案中。


(……継続)


(……もはや教育機関ではない)


(……宗教施設である)


「拓海」


エドワードが、静かに言う。


「ヤバイな。……お前が歩くたびに」


「……世界が、浄化されていくのが分かる」


間。


「一度お前の頭を浄化してこい!!」

ここまで読んでいただきありがとうございます。


悠馬君の父、佐伯拓海と、ノアの父、エドワード・ハミルトンのお話です。


いいねや感想など、いつも励みになっています。

この話もゆるく続いていく予定なので、

また気が向いたときに覗いていただけたら嬉しいです。

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